結論
第三者検査済みという表示は、誰が、何を、どのロットについて、いつ検査し、番号で照会できるかの5つの問いに分けて読めます。ただし、手元の箱と同じロットが検査されたかは、表示の一語だけでは分かりません。5つの問いは、証明書と公開の照会先を照らし合わせて手元で確かめられます。
『第三者検査済み』は、製品の書面でどこまでたどれるか?
製品の第三者検査は、Informed Sport の証明書番号 LMS-PSRM-06465 と、純度試験成績証明書の2つの書面までたどれます。ただし、どちらの書面も手元の箱と同じロットを測ったものかは、表示だけでは分かりません。番号と試験の欄は、公開の照会先と書面の記載で照らし合わせて確かめられます。

書面の記載をそのまま並べます。1つ目は Informed Sport 認証取得(アンチ・ドーピング第三者認証)の証明書で、英国 LGC が運営する仕組みです。証明書番号 LMS-PSRM-06465 が振られ、番号で照会できる形で公開されています。この仕組みは、製品のロットから試料を抜き取り、世界アンチ・ドーピング機構が禁止表に挙げる物質の混入を調べるものです。2つ目は一般財団法人 日本食品検査が発行した純度試験成績証明書で、結果は高純度NMN(純度99.9%)、試験方法は高速液体クロマトグラフ法と記載されています。2通は検査した機関も、測った項目も違います。前者は禁止物質の混入、後者は原料の純度。1通で全部を見ようとすると、測っていない項目まで調べ済みと読んでしまいます。
2つの書面に共通しているのは、どちらも一まとまりの試料について測った記録だという点です。箱を全部まとめた平均値ではありません。だから読み手が確かめるべきは数字の大きさより、その数字がどのロットの、いつの試料のものかという対応です。
- Informed Sport証明書番号 LMS-PSRM-06465。禁止物質の混入をロット単位で調べる第三者の仕組みです。
- 純度の成績書日本食品検査が発行。純度99.9%、方法は高速液体クロマトグラフ法。
- 別々の物差し混入と純度は別の書面に、別の項目として書かれています。
ロット単位の第三者検査は、何をどこまで調べる仕組みか?
ロット単位の第三者検査は、同じ条件で作った一まとまりから試料を取り、販売者と別の機関が決められた項目を測る仕組みです。ただし、検査したロット以外の箱の中身までは、その記録からは分かりません。対象のロットは、証明書や照会先の記載を読めば手元で確かめられます。

ロットとは、同じ原料を使い、同じ日に同じ工程で作った製品の一まとまりを指します。箱に刷られた記号や番号は、どのまとまりから来た箱かを示す目印です。ロット単位の検査では、このまとまりから試料を抜き取って測り、結果をそのまとまり全体の記録として残します。第三者というのは、測る機関が販売者と利害を共にしていないという意味で、自己申告の品質表示とは測った主体が違います。検査の項目は仕組みごとに決まっており、禁止物質の混入を見るもの、成分の純度や量を見るもの、微生物や重金属を見るものなど、目的に応じて分かれています。検査済みという同じ言葉でも、どの項目を見たかで意味が変わるのはこのためです。
市販品の中身が表示どおりとは限らないという報告が、こうした検査の背景にあります。ChromaDex が2021年に公表した調査では上位22製品のうち表示どおりは14%で、Sandalova らが2024年に GeroScience で報告した市販18製品の実測では、3製品から対象成分が検出されませんでした。ロット単位の記録は、この種のずれを見つけるための目印になります。
- ロット同じ原料・同じ工程で作った一まとまり。箱の記号が目印です。
- 第三者販売者と利害を共にしない機関が測ること。自己申告と主体が違います。
- 項目混入、純度、微生物など。どれを見たかで検査済みの意味が変わります。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- ロットの大きさ、つまり1つのまとまりに何箱が含まれるかは製品ごとに異なり、証明書や照会先に書かれていないことがあります。
- 1つのロットから何個の試料を取って測ったかは、仕組みの基準によって異なり、個々の証明書から読み取れない場合があります。
検査済みの記録があっても、分からないことは何か?
検査済みの記録が示すのは、決まった項目を、決まったロットについて、ある時点で測った結果です。ただし、測っていない項目や、試験日より後に作られたロットについては、その記録からは判断できません。どの項目とどの時点かは、証明書の試験項目と日付の欄で読み取れます。
記録の外側にあるものを3つに分けます。1つ目は測っていない項目です。禁止物質の検査に合格したロットでも、その記録は成分の量について何も述べていません。純度の成績書も、禁止物質の有無は扱っていません。2つ目は時間です。記録はある日の試料の結果で、その後に作られたロットは、同じ製品名でも別の記録を持つか、記録を持たないかのどちらかになります。3つ目は手元の箱そのものです。検査は抜き取った試料について行われ、家庭に届いた個々の箱を測り直すものではありません。検査で下げられるのは、ずれや混入が見逃される確率です。ゼロにする仕組みではない、という前提で読むと、記録の重さを取り違えません。
検査の下限も外側の1つです。どの検査にも、それより少ない量は見えないという下限があり、検出されなかったという結果は、その下限より少なかったという意味にとどまります。下限の値は、仕組みや機関で違います。
- 測っていない項目混入の検査は量を、純度の検査は混入を扱いません。
- 試験日の後後から作られたロットは、別の記録を持つか、持たないかのどちらかです。
- 手元の箱検査は抜き取った試料について。届いた箱を測り直すものではありません。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 禁止物質の検査で対象にした物質の一覧と下限の値は、仕組みの基準によって異なり、個々の証明書にすべてが書かれているわけではありません。
- 世界アンチ・ドーピング機構の禁止表は毎年改められるため、ある年に対象でなかった物質が後年に加わる可能性があります。
『第三者検査済み』を確かめる5つの問いは、どの順に並べるか?
確かめる問いは、誰が検査したか、何を検査したか、どのロットか、いつか、番号で照会できるか、の順に並べると一度で読み通せます。ただし、5つがそろっても、手元の箱の中身そのものの量までは言い切れません。5つの問いは、販売ページと証明書と照会先を順に見比べて確かめます。
並びには理由があります。最初に誰が検査したかを見るのは、販売者自身が測った記録なら、それ以降の問いの意味が変わるからです。次に何を検査したかを見て、禁止物質なのか純度なのかを分けます。3番目のどのロットかで、記録と手元の箱を結ぶ目印を探します。4番目のいつかでは、試験の日付と箱の製造の時期が前後しているかを見ます。最後の照会で、書面に書かれた番号が発行元の公開情報と一致するかを確かめます。上から順に答えが出れば、検査済みの一語が、どの範囲の記録なのかが具体的になります。途中で答えが出ない問いがあれば、そこが確かめられなかった範囲です。問いの数を5つに絞っているのは、販売ページと書面と照会先の3か所だけで答えが出る範囲にとどめるためです。
- 誰が検査したか発行元が販売者と別の機関か。Informed Sport なら運営は英国 LGC です。
- 何を検査したか禁止物質の混入か、純度や量か。試験項目の欄で分けます。
- どのロットか証明書や照会先にロットの記号があるか。手元の箱の記号と見比べます。
- いつ検査したか試験日と発行日、箱の製造の時期が前後していないかを見ます。
- 番号で照会できるか証明書番号 LMS-PSRM-06465 のような番号が、発行元の公開情報で照会できるかを確かめます。
5つの問いのどれかに答えが出ないときは、どう進めるか?
答えが出ない問いがあれば、その問いだけを販売者に1文で尋ね、返事を書面の欄に書き戻します。ただし、返事の中身が第三者の記録と合っているかは、販売者の言葉だけでは確かめられていません。返事に出てきた番号や日付は、発行元の照会先と突き合わせます。
尋ね方は問いごとに短く用意できます。発行元が分からなければ、検査した機関の名称を尋ねます。項目が分からなければ、何を対象にした検査かを尋ねます。ロットが分からなければ、手元の箱の記号を添えて、その記号のロットが検査の対象に含まれるかを尋ねます。日付が分からなければ、試験日と発行日を分けて尋ねます。番号が分からなければ、照会に使える証明書番号を尋ねます。返事を受け取ったら、5つの問いの表に日付とともに書き込み、番号は発行元の公開情報で照合します。照合して一致すれば、その問いは確かめた範囲に移ります。問い合わせても出てこない情報は、買った後にも出てきません。返事が来ない問いは、空欄のまま残しておくのが正直な記録です。
- 手順1|答えの出ない問いに印をつける|5つの問いのうち、販売ページと書面で埋まらないものを控えます。
- 手順2|問いごとに1文で尋ねる|箱の記号を添えて、機関名、項目、ロット、日付、番号を短く尋ねます。
- 手順3|番号を発行元で照合する|返事に出てきた番号を、発行元の公開情報と突き合わせます。
- 手順4|残った空欄を記録する|答えが出なかった問いを、確かめられなかった範囲として残します。
『検査済み』の言い方ごとに、たどれる範囲はどう違うか?
検査済みの言い方は、検査した主体と対象ロットと照会先が書かれているかで、たどれる範囲が段階的に広がります。ただし、どの言い方でも、手元の箱を測り直した記録であるとは言えません。書かれている要素は、表示と証明書を見比べて手元で確かめられます。
| 表示の言い方 | たどれる範囲 | たどれない範囲 |
|---|---|---|
| 検査済み(主体の記載なし) | 何らかの検査があったという申告 | 誰が、何を、どのロットを測ったか |
| 第三者検査済み(機関名あり) | 検査した機関 | 対象ロットと試験日 |
| 機関名と証明書番号あり | 番号で発行元の記録を照会できる | 手元の箱が対象ロットに入るか |
| 機関名、番号、ロットの記号あり | 手元の箱の記号と記録を見比べられる | 抜き取った試料以外の個々の箱 |
自社調べ。検査済みの表示の言い方を、書かれている要素ごとにたどれる範囲で分けたものです。
よくある質問
- 第三者検査済みと書いてあれば、手元の箱も検査されたのですか。
- 手元の箱そのものが測られたわけではありません。ロット単位の検査は、一まとまりから抜き取った試料を測り、その結果をまとまり全体の記録として残すものです。手元の箱がそのまとまりに入るかは、箱の記号と証明書や照会先のロットの記載を見比べて確かめます。
- 第三者検査で確かめる点は、どの順に見ればよいですか。
- 誰が検査したか、何を検査したか、どのロットか、いつか、番号で照会できるか、の順が読み通しやすい並びです。最初に検査の主体を見ておくと、それ以降の記録の意味を取り違えません。途中で答えが出ない問いは、販売者に尋ねる対象になります。
- 禁止物質の検査と純度の検査は、同じものですか。
- 別の検査です。Informed Sport のような仕組みは禁止物質の混入を調べ、純度の成績書は原料に占める目的の成分の割合を測ります。この製品の場合、前者は証明書番号 LMS-PSRM-06465、後者は日本食品検査の成績書で純度99.9%と、別々の書面に記録されています。
- 証明書番号は、何に使えますか。
- 発行元の公開情報で、その証明書が実在するか、どの製品とロットに対応するかを照会するのに使います。番号が書かれていても、照会先で一致を確かめるまでは、販売ページの記載を読んだ段階にとどまります。
- 販売者に何を尋ねれば、ロットの対応が分かりますか。
- 手元の箱に刷られた記号を添えて、その記号のロットが第三者検査の対象に含まれるかを尋ねます。あわせて、検査した機関の名称、試験日、照会に使える証明書番号を尋ねると、返事を発行元の公開情報と突き合わせられます。
- 検査済みの記録があれば、混入の心配はなくなりますか。
- なくなるとは言えません。ロット単位の検査は、ずれや混入が見逃される確率を下げる仕組みで、検査には下限があり、対象は抜き取った試料に限られます。記録は確率を下げる材料として読み、どの項目をどのロットで測ったかまで確かめます。
この記事について
出典
- Informed Sport 認証取得(アンチ・ドーピング第三者認証)/英国 LGC・証明書番号 LMS-PSRM-06465(Sophia Lab NMN 9000)
- 一般財団法人 日本食品検査 発行 純度試験成績証明書(純度99.9%・試験方法 高速液体クロマトグラフ法)
- ChromaDex(2021)市販NMN製品のラベル表示と実測値に関する調査
- Sandalova et al., GeroScience, 2024(市販18製品の実測とラベル乖離の報告)
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。サプリメントの摂取については、かかりつけの医師にご相談ください。
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