結論
一般生菌数は食品に生きている菌の総数、大腸菌群は衛生の状態を映す一群の菌、大腸菌はそのうち特定される菌を数える試験です。ただし数えた対象や時点までは名前だけからは決まりません。手元では成績書の項目と単位の欄で確かめられます。
微生物試験は、当社の書面のどこに出てくるか?
微生物試験の欄は、手元で保管している試験成績証明書には出てきません。その書面が測っているのは純度で、菌の数までは同じ書面からは分かりません。菌の数は、微生物試験として発行された別の書面の項目欄で確かめます。

手元の1通を欄ごとに読むと、その書面が何を測ったのかがはっきりします。証明書番号は第 320G039306-001 号、発行者は一般財団法人 日本食品検査、発行日は2021年1月12日で、供試品の欄にはニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)と化学名で書かれています。試験結果は 99.9、単位の欄は %、試験方法の欄は高速液体クロマトグラフ法です。この1通が答えているのは目的成分の割合までで、食品に生きている菌の数については、この欄には書かれていません。一般生菌数や大腸菌群を数える微生物試験は、この純度の書面とは別の試験項目として実施され、別の書面として発行されるのが通例です。
書面には「この試験成績の内容を転載する場合は、本法人の承認を得てください」という注記が入っています。そのため、ここでは画像そのものを載せず、欄ごとの記載事項を文字で書き起こす形にしています。微生物の項目を確かめたいときは、まず何の試験の書面かを表題で見分けてから、菌の名前が並んだ欄を探すと迷いません。純度の書面と微生物の書面は役目が違うので、片方だけを見て両方を確かめた気にならないことが読み方の起点になります。
| 書面の欄 | 記載されている内容 | この欄から言えること |
|---|---|---|
| 発行者 | 一般財団法人 日本食品検査 | 誰が測ったかを機関名で特定できる |
| 証明書番号 | 第 320G039306-001 号 | この1通を特定できる番号がある |
| 試験結果・単位 | 99.9・% | 供試品に占める目的成分の割合 |
| 試験方法 | 高速液体クロマトグラフ法 | どの分析法で測ったかが分かる |
| 微生物試験の欄 | この書面には無い | 菌の数は別の試験項目・別の書面で確かめる |
自社調べ。保管している試験成績証明書(純度試験)1通の記載事項を欄ごとに書き起こしたものです。書面画像は、転載に発行機関の承認が要ると書面に明記されているため掲載していません。
一般生菌数・大腸菌群とは、何を数える言葉か?
一般生菌数は培養して増える好気性の菌の総数、大腸菌群は衛生の指標となる一群の菌、大腸菌はその中で特定される菌を数えたものです。ただし名前だけでは、どの条件で数えたかまでは決まりません。数え方は成績書の試験方法と単位の欄で確かめられます。

三つの項目は、それぞれ数えている対象が違います。一般生菌数は、食品にどれだけ菌が生きているかの全体量を示す数字で、一グラムあたりの個数(CFU)などの単位で記録されます。大腸菌群は、ある種の糖を分解して特定の反応を示す菌のグループを指し、食品が衛生的に扱われたかを推し量る目印として使われます。大腸菌は、その大腸菌群の中でもさらに絞り込まれた菌で、検出されたかどうかが記録されます。いずれの数字も、菌がどれだけいたか、いたかどうかを示すもので、その食品を食べたときに体で何が起きるかを示すものではありません。試験が答えるのは、決められた方法で数えたら結果がこうだった、という事実までです。
数え方には決まった手順があります。試料を決められた培地に置き、決められた温度と時間で培養してから、現れた集落の数を数えます。培地や温度、時間が変われば数える条件も変わるため、成績書には試験の方法や基準の範囲が併記されるのが通例です。項目名と単位と基準、この三点がそろって初めて、その数字は他の書面と並べて読める形になります。逆に、菌の名前だけがあって単位や基準の欄が空いていると、数字の意味を最後まで確かめられません。
- 一般生菌数培養して現れる好気性の菌の総数を数える
- 大腸菌群衛生の指標となる一群の菌をまとめて数える
- 大腸菌大腸菌群の中で特定される菌。検出の有無を記録する
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 基準値そのものは製品の区分や販売する国によって定めが異なるため、この語だけからは合否の線引きは決まらない
- 検出されなかったことと、まったくいないことは同じではない(数えられる範囲では見つからなかったという意味にとどまる)
- 手元の書面に項目が無いことは、その試験が行われなかったことを直ちに意味しない(別の書面に分かれていることがある)
微生物試験から分からないことは何か?
微生物試験が示すのは、検査に出した試料に菌がどれだけいたか、いたかどうかという数値だけです。製品を飲んだときに体で何が起きるかまでは、この数値からは分かりません。手元の箱との対応は、書面の番号と箱の番号を照らして確かめます。
数字の外側にあることは、書面には書かれていません。試験結果が示すのは、検査に出した試料をその方法で数えた結果までで、手元の箱の中身が同じ製造単位かどうかは、番号を突き合わせないと分かりません。検出されなかったという結果も、まったくいないという意味ではなく、その方法で数えられる範囲では見つからなかったという意味にとどまります。基準の範囲は、製品の区分や販売する国の定めによって変わるため、ある書面で範囲の内側だった数字が、別の基準では判断が変わることもあります。こうした数字は、衛生や品質を見るときの手がかりの一つではありますが、それだけで製品全体を見極められるものではなく、純度や製造の管理の書面と合わせて読む必要があります。
時点の問題も、微生物試験には付いて回ります。発行日は、その日に試料が数えられたことを示す欄で、その後に作られた材料や、いま手元にある箱の中身までを保証するものではありません。菌の数は保管の状態や時間によっても動くため、いつの時点の試料についての記録なのかを、発行日の欄で確かめることが読み方の起点になります。材料について発行された書面と、最終製品について発行された書面とでは、読み取れる範囲が変わる点も同じです。
- 測っている範囲出した試料に菌がどれだけいたかまで。体での働きは含まない
- 不検出の意味数えられる範囲で見つからなかったという意味。ゼロの保証ではない
- 箱との対応手元の箱と同じ製造単位かは番号の照合が要る
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 数えられる範囲で見つからなかったという結果は、ゼロであることを保証しない
- 手元の箱の中身が、試験に出した試料と同じ製造単位かは番号の照合が要る
- 菌の数は保管の状態や時間で動くため、発行日の時点の記録だと読む必要がある
微生物試験を、自分でどう確かめればよいか?
確かめる順番は、純度の成績書とは別に、菌の名前が並んだ微生物試験の書面があるかを探すことから始めます。ただし書面があること自体は、数値が基準の内側だと決めるものではありません。項目と単位と基準の欄を、一つずつ読んで確かめます。

手を動かして読むなら、見る欄には順番があります。最初に、その書面が何の試料について発行されたものかを、供試品や検体の欄で確かめます。次に、一般生菌数や大腸菌群、大腸菌といった項目が並んでいるかを見ます。それぞれの結果には単位や検出の有無が書かれているので、単位の欄や判定の欄が空いていないかを確かめます。結果の隣に基準の範囲が書かれていれば、その数字が範囲の内側かどうかを読み取れます。最後に、発行者の欄に検査機関の名前が入っているかを見ます。機関名まで特定できれば、記載の内容を発行元に問い合わせる道が残ります。項目や単位、発行者のどれかが欠けている書面は、数字の出どころを最後まで追えない書面として保留にします。
読み違えが起きやすいのは、菌の名前が並んでいないことを「いない」と読んでしまうときです。書面に大腸菌群の欄が無い場合、それは菌がいないという意味ではなく、その書面がその項目を数えていないという意味にとどまります。菌の数を知りたいなら、微生物試験を項目として持つ別の書面を探す必要があります。もう一つ気をつけたいのは、単位や判定の見落としです。数字だけを見て大小を比べると、単位や条件の違う書面を取り違えます。結果と単位はいつも一組で読み、どちらか一方だけでは判断しないようにします。
- 手順1|何の試料かを読む|供試品や検体の欄で、材料と製品のどちらについて発行された書面かを確かめます。
- 手順2|菌の項目が並んでいるかを読む|一般生菌数・大腸菌群・大腸菌といった項目が書かれているかを見ます。
- 手順3|単位と判定を読む|数の項目には単位、検出の項目には判定が書かれているかを確かめます。
- 手順4|基準の範囲を読む|結果の隣に基準の範囲があれば、その数字が範囲の内側かどうかを読み取ります。
- 手順5|発行者を読む|検査機関の名前が入っているかを見ます。空欄なら、外部に確かめる入口が一つ減ります。
一般生菌数・大腸菌群・大腸菌は、どこが違うか?
三つの項目は、同じ微生物試験の書面に並ぶこともありますが、数えている対象が違います。ただし対象が違うぶん、数字を横並びにしても意味が同じにはなりません。どの項目がどの欄に対応するかは、成績書の欄名で確かめます。
数える対象と、書面のどの欄に出るかを分けて読むと、書面どうしを並べて確かめられます。
| 項目の名前 | 何を数えるか | 書面のどの欄に出るか |
|---|---|---|
| 一般生菌数 | 培養して現れる好気性の菌の総数 | 一般生菌数の欄 |
| 大腸菌群 | 衛生の指標となる一群の菌 | 大腸菌群の欄 |
| 大腸菌 | 大腸菌群の中で特定される菌 | 大腸菌の判定の欄 |
| 純度試験 | 供試品に占める目的成分の割合 | 試験結果・単位の欄 |
自社調べ。数える対象と、成績書のどの欄に対応するかで分けています。
よくある質問
- 一般生菌数とは、何を数える試験ですか。
- 決められた条件で培養したときに現れる好気性の菌の総数を数えた項目です。一グラムあたりの個数(CFU)などの単位で記録され、食品にどれだけ菌が生きているかの全体量を示します。数えているのは菌の数であって、その食品を食べたときに体で何が起きるかを示すものではありません。
- 大腸菌群と大腸菌は、何が違うのですか。
- 大腸菌群は、ある種の糖を分解して特定の反応を示す菌をまとめて指すグループの名前で、食品が衛生的に扱われたかを推し量る目印として使われます。大腸菌は、その大腸菌群の中でさらに絞り込まれた菌で、成績書では検出されたかどうかが記録されます。範囲の広さが違うと考えると整理しやすいです。
- 微生物試験は、純度の成績書に載っていますか。
- 手元で保管している試験成績証明書は純度試験の書面で、微生物試験の欄はありません。純度は目的成分の割合を測る項目、微生物は菌の数や検出の有無を数える項目で、別の試験として実施され、別の書面として発行されるのが通例です。菌の数を確かめたいときは、微生物試験の書面を別に探します。
- 「検出されず」と書かれていれば、菌はまったくいないということですか。
- いないという意味ではなく、その方法で数えられる範囲では見つからなかったという意味にとどまります。数え方には検出の下限があるため、不検出という結果は「その範囲では見つからなかった」と読むのが正確です。ゼロであることを保証する記載ではありません。
- 成績書の数字は、手元の箱の中身を示していますか。
- その書面が何を数えたかは、供試品や検体の欄に書かれています。化学名や材料名で書かれていれば、数えたのは製品になる前の材料です。手元の箱と結びつけるには、箱に印刷された番号と書面の記載が対応しているかを確かめる必要があります。対応の見方が分からないときは、販売者に照らし方を聞くのが早道です。
- 基準の範囲は、どの書面でも同じですか。
- 同じではありません。どの基準値を当てるかは、製品の区分や販売する国の定めによって変わります。そのため、ある書面で範囲の内側だった数字が、別の基準では判断が変わることもあります。成績書を読むときは、結果の数字だけでなく、どの基準に照らしているかを合わせて見ると迷いません。
この記事について
出典
- 試験成績証明書(第 320G039306-001 号/一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所/2021年1月12日発行/供試品 ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)/試験結果 99.9・単位 %/試験方法 高速液体クロマトグラフ法)
- ChromaDex, 2021(通販サイト上位22製品の測定。表示どおりだったのは14%、64%は NMN が1%未満)
- Sandalova et al., GeroScience, 2024(18製品の測定で表示との乖離は +28.6% から -100%、3製品は NMN が検出されず)
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