結論
HPLC は、混ざったものを成分ごとに分けてから、目的の成分がどれだけ含まれるかを測る分析方法です。試験成績証明書では試験方法の欄に書かれ、何をどう測ったかを特定する役目を持ちます。
HPLC は、書面のどこに出てくるか?
HPLC は、試験成績証明書の一番下にある試験方法の欄に出てきます。手元で保管している1通では、試験結果の数字の右側に記号が振られ、その記号の説明として高速液体クロマトグラフ法と書かれています。

書面の欄を順番に読むと、数字がどこから来たのかが追えます。保管している1通は、一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所が2021年1月12日付で発行したもので、証明書番号は第 320G039306-001 号です。供試品の欄にはニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)と化学名で記載され、試験項目も同じ化学名、試験結果は 99.9、単位の欄は % と書かれています。そして試験方法の欄に、高速液体クロマトグラフ法という1行が入ります。番号と発行者と発行日と供試品と試験方法、この5つがそろっているかどうかが、数字を追える書面と追えない書面を分ける境目になります。
書面には「この試験成績の内容を転載する場合は、本法人の承認を得てください」という注記が入っています。そのため、この記事では画像そのものを載せず、欄ごとの記載事項を文字で書き起こす形にしています。
書面と手元の箱をつなぐのは、番号です。証明書番号は書面の1通を特定する番号で、箱に印刷されたロット番号はその箱の中身がどの製造単位に属するかを示す番号です。2つは役目が違うので、同じ番号がそろって書かれているとは限りません。書面が材料について発行されている場合、箱のロット番号と書面の記載が直接は対応しないこともあります。対応関係を確かめたいときは、どの番号とどの番号を突き合わせればよいのかを販売者に聞くのが早道です。
| 書面の欄 | 記載されている内容 | この欄から言えること |
|---|---|---|
| 証明書番号 | 第 320G039306-001 号 | この1通を特定できる番号が振られている |
| 発行者 | 一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所 | 誰が証明したのかが特定できる |
| 発行日 | 2021年1月12日 | いつの時点で試験されたものかが特定できる |
| 供試品 | ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN) | 何を測ったのかが化学名で特定できる |
| 試験項目・試験結果 | ニコチンアミドモノヌクレオチド/99.9(単位 %) | 供試品に占める目的成分の割合 |
| 試験方法 | 高速液体クロマトグラフ法 | どの分析法で測ったのかが特定できる |
| [検出限界] | -(この試験項目には数値の記載なし) | この項目では下限の数値が設定されていない |
自社調べ。保管している試験成績証明書1通の記載事項を、欄ごとに書き起こしたものです。書面画像は、転載に発行機関の承認が要ると書面に明記されているため掲載していません。
HPLC とは、何を指す言葉か?
HPLC は High Performance Liquid Chromatography の略で、日本語では高速液体クロマトグラフ法と呼ばれます。液体に溶かした試料を管に流し、成分ごとに出てくる時間の差を使って分ける方法です。

分ける仕組みは、細かい粒を詰めた管の中を、試料と液体が一緒に通り抜けるところにあります。管の中の粒に引き寄せられやすい成分はゆっくり進み、引き寄せられにくい成分は速く進みます。出口では時間差をつけて成分が順番に出てくるので、これを検出器で拾うと、山がいくつも並んだ記録が得られます。目的の成分がどの時間に出てくるかは、あらかじめ純度の分かっている標準品を同じ条件で流して確かめておきます。試料の山の大きさを標準品の山の大きさと比べることで、どれだけ含まれていたかを数字にします。つまり HPLC の数字は、絶対値をそのまま読み取ったものではなく、基準となる標準品との比較から出てきた数字です。
標準品との比較には、検量線という考え方が使われます。濃度が分かっている標準品をいくつかの濃度で流し、濃度と山の大きさの関係を先に線として引いておきます。そのうえで試料を流し、得られた山の大きさを線に当てて濃度を読みます。この手順を踏むので、標準品の純度や濃度の設定が測定結果の土台になります。試験成績証明書に書かれるのは分析法の名前までで、どの標準品をどの濃度で使ったかまでは書かれないのが通例です。
分析法の名前が書面に書かれていることには、比べられるかどうかという実務上の意味があります。同じ成分でも、別の分析法で測れば数字が変わることがあります。試験方法の欄が空欄の書面は、数字が正しくないという意味ではありませんが、他の書面の数字と同じ土俵に並べてよいのかを判断する材料が足りません。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 同じ試料を別の分析法で測ったときに、数字がどれだけ動くのかは、この書面からは分からない
- 標準品そのものの純度が何%だったのかは、試験成績証明書には書かれていない
- 測定を何回繰り返したのか、ばらつきがどれくらいだったのかは記載されていない
HPLC の数字から分からないことは何か?
HPLC の数字が示すのは、測った試料の中で目的の成分が占める割合だけです。残りの部分に何が入っていたのか、その試料が最終的な製品と同じものかどうかは、別の欄を読まないと分かりません。
割合の数字は、引き算した残りについては何も語りません。99.9 という数字が意味するのは、測った試料のうち目的の成分がその割合を占めていたということで、残りの部分が水分なのか、製造の過程で残った別の物質なのかは、この試験項目からは読み取れません。残りが何であるかを知るには、重金属や残留溶媒といった別の試験項目が同じ書面に並んでいるか、別の書面として発行されているかを見る必要があります。項目が並んでいない書面を見て「他には何も入っていない」と読むのは、書かれていないことを読んだことになります。
測った対象がいつの時点のものかという問題も残ります。書面の発行日は、その日に試験が行われたことを示しますが、その後に作られた材料や、手元にある箱の中身について何かを保証するものではありません。古い書面が悪いという意味でも、新しい書面が良いという意味でもなく、日付は「どの時点の話か」を確かめるための欄です。
- 測った対象供試品の欄に書かれたものだけ。カプセルに詰めたあとの製品とは限らない
- 残りの成分割合の数字は残りが何かを示さない。別の試験項目を見る
- 時点発行日の時点の試料についての記録。手元の箱の中身を直接示すものではない
- 比較可能性分析法が書かれていない数字とは、同じ土俵に並べられない
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 残りの部分に何が含まれていたのかは、この試験項目からは分からない
- 書面の発行日以降に作られた材料について、この書面は何も示していない
- 他社が公表している数字が同じ分析法で測られたものかどうかは、その書面を見ないと分からない
手元の書面で、HPLC の記載をどう確かめればよいか?
確かめる順番は、試験方法の欄を先に読み、そのあとで数字を読む形にすると迷いません。方法が特定できて初めて、その数字を他の書面の数字と並べてよいかどうかが決まります。

手を動かして読むなら、欄の順番があります。最初に発行者と発行日と証明書番号を見て、その書面が誰のいつの記録なのかを確かめます。次に供試品の欄を読み、測ったのが材料なのか製品なのかを見分けます。それから試験項目と試験結果と単位を読み、何の割合の数字なのかを確定させます。最後に試験方法の欄を読み、分析法が書かれているかどうかを見ます。この4段階のうち1つでも欄が空いていたら、その書面は数字の出どころを最後まで追えない書面です。買う前に読む書面としては、欄が埋まっていることのほうが、数字が大きいことよりも先に立ちます。
読み違えが起きやすいのは、書面の数字を製品の数字として読んでしまうときです。供試品の欄に化学名だけが書かれている書面は、材料そのものを測った記録なので、そこに書かれた割合は箱の中身の割合ではありません。製品としての量は、箱に印刷された1粒あたりと1箱あたりの表示で読みます。書面の割合と製品の表示は別の層の数字なので、どちらか一方だけで製品を判断せず、2つを並べて読むと過不足なく確かめられます。
- 手順1|誰のいつの記録かを読む|発行者・発行日・証明書番号の3つが書かれているかを確かめます。番号があれば、その1通を特定できます。
- 手順2|測った対象を読む|供試品の欄を読み、化学名で書かれているか、製品名で書かれているかを見分けます。
- 手順3|数字と単位を読む|試験項目・試験結果・単位を並べて読み、何に対する割合の数字なのかを確定させます。
- 手順4|分析法を読む|試験方法の欄に高速液体クロマトグラフ法などの記載があるかを見ます。空欄なら、他社の数字とは並べません。
- 手順5|書かれていない欄を数える|検出限界や規格値の欄が空いている場合、そこは書面が答えていない部分として保留にします。
似た言葉とは、どこが違うか?
書面まわりで並んで出てくる言葉は、指しているものの層が違います。分析法、試験項目、証明書の種類を分けて読むと、どの言葉がどの欄に対応するのかが整理できます。
どの層の話かを先に決めると、数字の比べ方が決まります。
| 言葉 | 指しているもの | 書面のどこに出るか |
|---|---|---|
| HPLC(高速液体クロマトグラフ法) | 成分を分けて量を測る分析法の名前 | 試験方法の欄 |
| 純度 | 測った試料に占める目的成分の割合 | 試験項目と試験結果の欄 |
| 含有量(配合量) | 製品1粒や1箱に入っている量 | 書面ではなく製品の表示 |
| 検出限界 | その分析法で測れる下限 | 検出限界の欄(記載がないこともある) |
| 試験成績証明書 | 試験の結果を証明する書面そのもの | 書面の表題 |
自社調べ。書面と製品表示のどちらに書かれる言葉なのかで分けています。
よくある質問
- HPLC とは何の略ですか。
- High Performance Liquid Chromatography の略で、日本語では高速液体クロマトグラフ法といいます。液体に溶かした試料を細かい粒の詰まった管に流し、成分ごとに出てくる時間の差を使って分ける分析方法です。分けたあとの山の大きさを標準品と比べることで、目的の成分がどれだけ含まれていたかを数字にします。
- HPLC で測れば、成分の量は正確に分かるのですか。
- 測れるのは、その試料に目的の成分がどれだけの割合で含まれていたかです。基準となる標準品と比べて出す数字なので、標準品の条件がそろっていることが前提になります。また、割合の数字は残りの部分に何が入っていたかを示さないため、残りを知りたい場合は重金属や残留溶媒など別の試験項目を見る必要があります。
- 試験方法の欄が空欄の書面は、信用できないということですか。
- 信用できないという意味ではありません。ただし、分析法が書かれていない数字は、別の書面の数字と同じ土俵に並べてよいのかを判断する材料が足りません。数字の大小を比べる前に、どちらの書面にも分析法が書かれているかを見ると、比べられる範囲がはっきりします。
- 書面の画像を見せてもらうことはできますか。
- 保管している試験成績証明書には「この試験成績の内容を転載する場合は、本法人の承認を得てください」という注記が入っています。そのため、画像そのものは掲載せず、欄ごとの記載事項を文字で書き起こす形にしています。記載内容の確認をご希望の場合は、お問い合わせ窓口からご連絡ください。
- HPLC の数字は、手元の箱の中身を示していますか。
- その書面が何を測ったかは、供試品の欄に書かれています。化学名で書かれていれば、測ったのはカプセルに詰める前の材料です。手元の箱の中身と結びつけるには、箱に印刷されたロット番号と、書面に書かれた検体やロットの記載が対応しているかを確かめる必要があります。
- 標準品とは何ですか。
- 濃度や純度が分かっている試料のことで、測定の基準として使われます。標準品をいくつかの濃度で流して濃度と検出量の関係を線にしておき、その線に試料の測定値を当てて濃度を読みます。試験成績証明書に書かれるのは分析法の名前までで、どの標準品を使ったかまでは書かれないのが通例です。
この記事について
出典
- 試験成績証明書(第 320G039306-001 号/一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所/2021年1月12日発行/供試品 ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)/試験結果 99.9・単位 %/試験方法 高速液体クロマトグラフ法)
- ChromaDex, 2021(通販サイト上位22製品の測定。表示どおりだったのは14%、64%は NMN が1%未満)
- Sandalova et al., GeroScience, 2024(18製品の測定で表示との乖離は +28.6% から -100%、3製品は NMN が検出されず)
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。サプリメントの摂取については、かかりつけの医師にご相談ください。
※当サイトはSOPHIA Lab公式サイトです。記事内で紹介する製品はSOPHIA Lab製品です。