白い机に置かれた無地の書類の束とガラス製サンプル瓶のラック、ステンレスのピンセット

NMNサプリの原料の来歴は、どこまで確かめられるか|買う前に見る7項目

結論

原料の来歴で確かめられるのは、検査機関が発行した書面に書かれている「誰が依頼し、何を、どの方法で測ったか」までです。加工地や製造元は別の書面で確かめる必要があり、ラベルの一行だけではたどれません。

Primary source

原料の来歴は、どの書面に、どこまで書かれているか?

原料の来歴が書面で確かめられるのは、検査機関が発行した試験成績証明書と、製造工程を説明した書面の2つです。ラベルの表記からは、どこで作られた何を測った数値なのかまではたどれません。

白い作業台に並んだ透明のビーカーと空のガラス瓶、背景にたたまれた白衣の袖
※画像はイメージです。

手元にある1通を、記載されている項目のまま並べます。発行者は一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所(厚生労働省登録検査機関)で、証明書番号は 320G039306-001、発行日は2021年1月12日です。依頼者の欄には有限会社 沖縄長生薬草本社と書かれており、これは原料の製造を担う事業者です。供試品の欄には化学名が記載され、試験項目も同じ化学名、試験結果は99.9%、試験方法は高速液体クロマトグラフ法と書かれています。つまりこの書面が示しているのは、依頼された供試品1点についての純度の測定結果です。

同じ証明書の「検体に関する附帯事項」の欄には日本国内加工と記載があり、その直下に注記が入っています。検体に関する附帯事項は、当法人が証明する事項ではありませんという一文です。加工地の記載は検査機関の証明対象ではないと、発行者自身が書面上で明示しているということになります。買う側から見れば、この一文があることで「どこまでが第三者の証明で、どこからが依頼者の申告なのか」の線が引けます。線が引ける書面は、線が書かれていない書面より確かめやすい書面です。

書面の日付にも意味があります。証明書は発行日時点で提出された検体についての記録であり、その後に製造されたロットまでを保証するものではありません。継続して買う場合は、直近のロットについて同じ形式の書面が出ているかどうかが、次の確認点になります。

書面の記載項目 この証明書に書かれている内容 そこから言えること この書面だけでは言えないこと
発行者 一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所(厚生労働省登録検査機関) 販売者ではない第三者が測っている 他の機関が同じ検体を測って同じ数値になるか
証明書番号・発行日 第 320G039306-001 号/2021年1月12日 いつ時点の測定かが特定できる それ以降に製造されたロットの中身
依頼者 有限会社 沖縄長生薬草本社 誰の依頼で測られたかがたどれる その事業者が全工程を担っているかどうか
試験項目・結果 供試品と同じ化学名/99.9% 供試品1点の純度の測定結果 箱に入っている粒すべての中身
試験方法 高速液体クロマトグラフ法 測定方法が特定できる 測定条件の詳細(別紙が要る)
附帯事項 日本国内加工(証明対象外の注記つき) 加工地は依頼者の申告であること 原料そのものがどこで作られたか

自社調べ。書面の記載項目をそのまま転記し、証明の範囲と範囲外を分けて整理したものです。

NMN の原料は、そもそもどのように作られているか?

市場に流通している原料の作り方は、大きく分けて発酵によるものと化学合成によるものの2系統が知られています。どちらの系統でも、最終的な純度は工程そのものより精製の程度で決まります。

白いレースカーテン越しに朝の光が差し込む窓辺と木の窓枠を写した写真
朝の光が入る窓辺(イメージ写真)

発酵由来は微生物の働きを利用して目的の物質を得る方法で、化学合成は原料化合物から段階的に組み立てていく方法です。どちらが優れているという一般的な結論は、公開されている資料の範囲では出ていません。前者は培養と精製の条件管理が品質を左右し、後者は中間体の除去と精製の徹底が品質を左右します。つまり系統が違っても、最後に効いてくるのは精製をどこまでやったかという同じ一点です。買う側にとって実務的に意味があるのは製法の名前ではなく、その製法で作られたロットの純度が第三者の測定で書面になっているかどうかになります。製法名はラベルに書けますが、書面は書けません。書けないものが、確かめられる差として残ります。

もう一つ知っておくと読み違えが減るのが、原料と製品の距離です。原料メーカーが作るのは粉体としてのNMNであり、それを受け取った側がカプセルに充填し、箱に詰めて製品にします。原料の純度に関する書面は前者について発行されるもので、後者の工程については別の管理と別の書面が対応します。1通の書面で両方が確かめられることは、通常ありません。

日本国内で流通している製品の場合、原料そのものは国外で製造されたものを半製品として輸入し、国内で加工・充填している例が多く見られます。この場合、完成品としては国内製造にあたりますが、原料の産地まで国内であるとは言えません。表示を読むときは、その表示がどの段階を指しているのかを一段ずつ確かめる必要があります。

この記事で扱わないこと・分かっていないこと

  • 製法(発酵由来か化学合成か)の違いが、体内での扱われ方にどう影響するかは、公開されている資料の範囲では結論が出ていません。
  • 原料ロットごとの純度のばらつきの幅は、各社が個別に測定しているため、業界全体の分布としては公開されていません。
  • この記事は書面で確かめられる範囲を扱うもので、摂取したときの体感については扱いません。

ラベルの表示と中身は、どのくらいずれることがあるか?

第三者による市販品の実測調査では、ラベル表示と実際の含有量が大きくずれる例が繰り返し報告されています。ずれは小さな誤差ではなく、桁で違う例まで含まれます。

ChromaDexが2021年に公表した調査では、Amazonで販売されていた上位22製品のうち、ラベル表示どおりだったのは14%にとどまり、64%は表示された成分が1%未満だったと報告されています。査読誌でも同様の傾向が示されており、Sandalovaらが2024年にGeroScienceで報告した市販18製品の実測では、ラベル表示に対する乖離が +28.6% から -100% の範囲に広がり、3製品からは対象成分が検出されなかったとされています。マイナス100%とは、書かれているものが入っていなかったという意味です。

この2件が示しているのは、ラベルの数字が測定結果と同じ意味を持つとは限らないということです。数字そのものは誰でも印刷できます。数字を裏づけているのは、その数字がどの検体を、いつ、どの方法で、誰が測ったものかという記録の側です。だから買う側の確認は「何mgと書いてあるか」ではなく「その数字に対応する書面があるか」に移ります。書面がある製品と、数字だけがある製品を並べたとき、比べているのは品質そのものではなく、確かめられる度合いです。買う前に手に入る情報は、実際にはこの確かめられる度合いしかありません。

なお、これらの調査は特定の国や販売経路のサンプルに対するもので、日本国内で流通している製品全体の分布を示すものではありません。数字をそのまま国内市場に当てはめることはできませんが、書面で確かめる習慣が要るという結論の側は共通して読み取れます。

調査 対象 報告されている乖離
ChromaDex 2021 Amazon上位22製品 ラベルどおりは14%/64%は表示成分1%未満
Sandalova et al., GeroScience, 2024 市販18製品 +28.6% 〜 -100%/3製品は検出されず

自社調べ。公表資料の記載を、対象と数値の対応がわかる形に並べ替えたものです。

原料について、買う前に確かめられる項目は何か?

買う前に確かめられるのは、書面の存在と、その書面が何を証明しているかの2点に集約されます。以下の7項目は、販売ページと公開資料だけで到達できる範囲に絞っています。

7項目は、自社が満たしているものだけを並べたものではありません。満たしていない項目や、そもそも公開されないことが多い項目も含めています。基準表は、満たせないものが書かれていて初めて基準表として使えるからです。項目3と項目6は、公開している事業者のほうが少ない項目にあたります。項目7は書面ではなく計算で確かめられる項目で、販売ページの表示だけあれば手元で検算できます。買う側から見て「無いこと」がはっきり分かるのも、確かめられたことの一種です。7項目のうち何個を満たすかで順位をつけるのではなく、どの項目が空欄のままなのかを控えておくほうが、後から比べるときに役に立ちます。

  • 1. 純度を測った書面があるか試験成績証明書そのものが公開されているか。数値だけの記載ではなく、書面の画像またはPDFがあるかを見ます。
  • 2. 発行者が販売者と別か測ったのが販売者自身か、第三者の検査機関か。発行者名と所在が書面に入っているかを確かめます。
  • 3. 依頼者の名前が読めるか誰の依頼で測られたかが書面に残っているか。ここが読めると、原料側と製品側のどちらの記録かが判別できます。
  • 4. 試験方法が書かれているか高速液体クロマトグラフ法など、測定方法の記載があるか。方法が無い数値は再現性を確かめられません。
  • 5. 証明の範囲外が明示されているか証明の対象ではない項目に注記が入っているか。範囲を狭く書いてある書面のほうが、実際には信頼できます。
  • 6. 加工・充填の工程が説明されているか原料の輸入から国内での加工・充填まで、どこを誰が担っているかの説明があるか。
  • 7. 1粒あたりの量と粒数が一致しているか1粒あたりの量、粒数、箱あたりの総量が、掛け算で合っているか。合っていない表示は読み方を間違えやすい表示です。

7項目は、どの順番で確かめると早いか?

確かめる順番は、書面の有無から始めて、範囲、工程、数字の整合の順に降りていくのが最短です。先に数字を見比べると、裏づけの無い数字どうしを比べることになります。

手順は4段です。販売ページに書面があるかを見て、あればその書面の発行者と依頼者を読み、次に証明の範囲外の注記を探し、最後に製品表示の数字が掛け算で合うかを確かめます。慣れれば1製品あたり10分ほどで一巡します。書面が見つからない場合は、その時点で次の候補に移るか、販売者に問い合わせるかの分岐になります。問い合わせて出てこない書面は、買った後にも出てきません。逆に、範囲外の注記まで含めて書面を出してくる事業者は、確かめられる材料を先に渡している事業者です。手順を1回通しておくと、2製品目からは同じ場所を見るだけになるため、比較にかかる時間が大きく短くなります。

  • 手順1|書面を探す販売ページ内で試験成績証明書や分析証明書の画像・PDFを探します。数値の記載だけで書面が無い場合は、その旨を控えておきます。
  • 手順2|発行者と依頼者を読む書面の上部にある発行機関名と、依頼者の欄を読みます。販売者と発行者が同じ場合は、第三者の測定ではありません。
  • 手順3|証明の範囲外を探す附帯事項や注記の欄を読み、証明の対象ではないと書かれている項目を確認します。ここが加工地や原産地であることが多い箇所です。
  • 手順4|数字の整合を見る1粒あたりの量 × 粒数 が箱あたりの総量と一致するかを計算します。1粒150mg・1箱60粒であれば総量は9,000mgになります。

表示だけで分かることと、書面がないと分からないことは何か?

表示から分かるのは、事業者が申告した内容です。書面から分かるのは、第三者が測定した内容です。同じ項目でも、どちらに書かれているかで意味の強さが変わります。

確かめたいこと ラベル・販売ページの表示だけで分かるか 書面があれば分かるか
1粒あたりの量と粒数 分かる 分かる
原料の純度の測定値 分からない(申告のみ) 分かる(供試品1点について)
測定した機関が第三者か 分からない 分かる(発行者欄)
誰の依頼で測られたか 分からない 分かる(依頼者欄)
加工地 申告として書かれている 証明の対象外と注記されることがある
原料そのものの産地 分からないことが多い この書面では分からない
購入するロットの中身 分からない この書面では分からない(発行日時点の検体)

自社調べ。表示と書面で確かめられる範囲の違いを、確認したい項目ごとに整理したものです。

よくある質問

NMNサプリの原料は、どこで作られていることが多いですか。
原料そのものは国外で製造され、半製品として輸入されたうえで国内で加工・充填されている例が多く見られます。この場合、完成品としては国内製造にあたりますが、原料の産地まで国内であるとは言えません。販売ページの表示がどの段階を指しているかを読み分けてください。
原材料名の欄を見れば、原料の質は分かりますか。
原材料名の欄から分かるのは、何が配合されているかという構成までです。純度や測定値は原材料名の欄には書かれません。質にあたる部分は、検査機関が発行した書面の側で確かめる必要があります。
試験成績証明書があれば、買う箱の中身も保証されますか。
保証されません。証明書は発行日時点で提出された検体1点についての記録です。継続して買う場合は、直近のロットについて同じ形式の書面が公開されているかどうかが次の確認点になります。
純度99.9%と書かれていれば、それだけで選んでよいですか。
数値だけでは判断できません。その数値がどの検体を、どの方法で、誰が測ったものかが書面で追えて初めて意味を持ちます。方法の記載が無い数値は、再現性を確かめる手がかりがありません。
原料メーカーの名前が書かれていない製品は、避けたほうがよいですか。
名前が無いことだけを理由に避ける必要はありませんが、確かめられる情報が1つ少ない状態にはなります。書面の依頼者欄から原料側の事業者が読み取れる製品は、来歴をたどれる範囲がその分だけ広くなります。
販売者に問い合わせるとしたら、何を聞けばよいですか。
直近ロットの試験成績証明書の有無、その発行機関名、加工と充填を行っている国と工程、の3点をまず聞くのが効率的です。書面の有無は言葉ではなく現物で確かめられる項目です。

この記事について

作成: SOPHIA Lab 編集部/更新: 2026年8月9日

編集ポリシー(だれが、何をもとに、どう検証して書いているか)

出典

  • 一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所 発行 試験成績証明書(第 320G039306-001 号/2021年1月12日/試験方法:高速液体クロマトグラフ法)
  • ChromaDex(2021)市販NMN製品のラベル表示と実測値に関する調査
  • Sandalova et al., GeroScience, 2024(市販18製品の実測とラベル乖離の報告)
  • Fukamizu et al., Scientific Reports, 2022(健康成人31名・β-NMN 1250mg/日×4週間の安全性に関する報告)
  • Grozio et al., Nature Metabolism, 2019(小腸のトランスポーター Slc12a8 に関する報告)

当サイトはSOPHIA Lab公式サイトです。記事内で紹介する製品はSOPHIA Lab製品です。中立な第三者による比較記事ではありません。

関連する記事

書面の読み方をさらに具体的に見る場合は、証明書1通を項目ごとに読み解いた記事があります。表示の読み方から入る場合は、成分表示の記事のほうが近い入口です。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。サプリメントの摂取については、かかりつけの医師にご相談ください。

※当サイトはSOPHIA Lab公式サイトです。記事内で紹介する製品はSOPHIA Lab製品です。

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