結論
品質管理体制について買う前に確かめられるのは、実際の運用そのものではなく、何がどこまで公開されているかという開示の範囲です。開示は8項目に整理でき、書面の現物が出る項目と、名称だけが出る項目に分かれます。
NMNサプリの品質管理体制は何を見ればよいですか
見るのは体制そのものではなく、体制について何がどこまで開示されているかです。製造工程の管理、検査の実施、書面の出し方の3つが、名称だけで終わるか現物まで出るかで、買う前に確かめられる範囲が変わります。
買う側の位置からは、工場の中を直接見ることはできません。確かめられるのは開示の範囲だけです。開示は3つの層に分かれます。第一の層は名称です。管理の枠組みの名前や認定の名前が書かれている状態で、名前があるだけでは、何が確かめられたのかまでは読めません。第二の層は発行元です。誰がその認定を出したかが書かれていれば、発行元の公開情報と照合できます。第三の層は現物です。証明書や説明書面そのものが出てくる状態で、ここまで来て初めて、記載の中身を項目ごとに読めます。同じ製品でも、項目によって届く層が違うことは珍しくありません。層がそろっているかどうかではなく、どの項目がどの層で止まっているかを見るのが、実際に使える読み方です。
この3層は、そのまま質問の順番にも使えます。名称しか書かれていないなら発行元を聞き、発行元が分かったら書面の有無を聞く。答えが名称の層で止まる項目と、現物まで出る項目は、事業者ごとにはっきり分かれます。
開示8項目のうち、書面の現物まで出せるのはいくつか?
8項目のうち、書面の現物まで公開できているのは5項目です。残り3項目は名称や説明としてしか出せない項目で、これは開示する側の姿勢というより、書面が発行される単位の問題です。

手元の公開済み資料を8項目に突き合わせて数えました。書面の現物が出せたのは、原料の純度、第三者の検査プログラム、臨床試験の安全性評価、製造工程の分担、製品仕様の5項目です。純度については一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所が発行した試験成績証明書があり、証明書番号は 320G039306-001、発行日は2021年1月12日、試験方法は高速液体クロマトグラフ法と記載されています。安全性については、多施設・ランダム化・二重盲検・プラセボ対照 の試験で、1日300mg を60日間、40〜65歳の66名を対象に評価した記録があります。この試験が扱っているのは安全性の評価であり、それ以外を示すものではありません。
8項目のうち、書面の現物まで公開できているのは5項目という数字は、裏を返せば3項目は書面で示せていないという意味でもあります。示せていないのは、ロット単位の検査記録、工場の監査記録、原料段階の受け入れ試験の記録です。これらは社内の記録として存在していても、第三者が発行した書面ではないため、公開しても買う側が検証できる形にはなりません。この線引きを先に共有しておくほうが、開示の話は正確になります。
書面には範囲の限定が書かれていることがあります。前述の試験成績証明書の附帯事項の欄には、検体に関する附帯事項は、当法人が証明する事項ではありません という注記が入っています。つまり同じ書面の中でも、検査機関が証明している部分と、依頼者が申告した部分が分かれているということです。範囲が狭く書かれている書面ほど、実際には読み取れる情報が多くなります。
| 開示項目 | 出せる形 | 第三者が関与しているか |
|---|---|---|
| 原料の純度 | 書面(試験成績証明書) | 検査機関が発行 |
| アンチ・ドーピングの検査 | 書面(証明書・登録番号あり) | 検査プログラム運営者が発行 |
| 臨床試験の安全性評価 | 書面(声明書) | 試験実施機関が関与 |
| 製造工程の分担 | 書面(工程の説明資料) | 自社作成 |
| 製品仕様(量・粒数) | 表示(販売ページ) | 自社作成 |
| ロット単位の検査記録 | 出せない(社内記録) | 第三者発行ではない |
| 工場の監査記録 | 出せない(社内記録) | 第三者発行ではない |
| 原料受け入れ試験の記録 | 出せない(社内記録) | 第三者発行ではない |
自社調べ。開示できる形と、第三者が関与しているかどうかで8項目を分類したものです。
品質管理体制とは、具体的に何を指しているか?
品質管理体制という言葉が指しているのは、原料の受け入れから出荷までの各工程で、誰が何を確認し、その記録をどう残すかという一連の仕組みです。単一の認証名を指す言葉ではありません。

食品の製造管理には、工程ごとに定められた手順と、その手順どおりに行われたことを示す記録の2つが必要になります。原料が届いたときの受け入れ確認、保管中の温度と湿度の管理、計量と混合の記録、充填したカプセルの重量の確認、金属など異物の検出、出荷前の最終確認といった段階があり、それぞれに担当と記録様式が対応します。認証は、この仕組みが定められた基準を満たしているかどうかを外部が確認したという事実を示すもので、個々のロットの品質そのものを保証するものではありません。ここを混同すると、認証マークがあれば中身が保証されているという読み違いが起こります。
買う側から見ると、この仕組みの中身は直接は見えません。見えるのは、どの基準に沿っているかという名称と、外部が確認した事実を示す書面の有無までです。つまり品質管理体制について確かめられることは、実質的に開示の範囲を確かめることと同じになります。
国内で製造していることと、管理の水準が高いことは、別の話です。国内製造は工程の所在を示す事実であり、管理の水準を示す指標ではありません。両方を確かめたい場合は、それぞれ別の項目として見る必要があります。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 実際の運用が手順どおりに行われているかどうかは、外部からは確認できません。確認できるのは、外部が確認したという事実を示す書面の有無までです。
- 認証の有無とロット単位の品質のばらつきの関係を示す公開データは、見つかっていません。
- この記事は開示の範囲を扱うもので、摂取したときの体感については扱いません。
なぜ、開示の範囲を確かめることに意味があるのか?
第三者による市販品の実測で、表示と中身が大きくずれる例が繰り返し報告されているためです。表示だけでは、ずれているかどうかを判別できません。
Sandalovaらが2024年にGeroScienceで報告した市販18製品の実測では、ラベル表示に対する乖離が +28.6% から -100% の範囲に広がり、3製品からは対象成分が検出されなかったとされています。マイナス100%とは、表示されているものが検出されなかったという意味です。この結果が示しているのは、表示の数字と実際の中身が同じ意味を持つとは限らないということであり、裏返せば、数字を裏づける記録がどこまで公開されているかが実質的な差になるということです。開示の範囲を確かめる作業は、遠回りに見えて、買う前に手に入る情報の中では最も直接的な確認方法にあたります。
安全性についても同じ構造があります。Fukamizuらが2022年にScientific Reportsで報告した試験では、健康成人31名がβ-NMN を1日1250mg、4週間にわたって摂取し、重篤な有害事象は報告されなかったとされています。こうした報告は成分一般についての知見であって、個別の製品の中身を保証するものではありません。成分についての知見と、目の前の製品の中身は、別々に確かめる必要があります。
開示が薄い製品が悪いという話ではありません。開示が薄い場合、買う側は確かめる手段を持たないというだけです。持たないことを知ったうえで選ぶのと、知らずに選ぶのとでは、後から見直すときの手がかりの数が変わります。
開示について、買う前に確かめられる項目は何か?
確かめられるのは8項目です。販売ページと公開資料だけで到達できる範囲に絞り、社内記録として存在していても外から検証できない項目は入れていません。
8項目は、自社が満たしているものだけを並べたものではありません。書面で示せない項目、つまり多くの事業者が公開していない項目も、あえて同じ表に入れています。基準表として使えるのは、満たせない項目が書かれている表だけだからです。項目6から8は、書面の形では出てこないことが通常であり、そこに書面を求めても議論が進みません。代わりに、その項目について「どのような記録を、どの頻度で残しているか」を言葉で説明できるかどうかを見ます。説明の粒度は、記録の有無をかなりの精度で反映します。8項目を点数化して順位をつける使い方はしないでください。項目ごとに空欄が残った場所を控えておくほうが、複数の候補を後から比べ直すときに役立ちます。
- 1. 純度を測った書面が公開されているか数値だけでなく、試験成績証明書の画像またはPDFが公開されているか。発行者名と発行日が読めるかを見ます。
- 2. 測定した機関が販売者と別か測ったのが販売者自身か、第三者の検査機関か。発行者の欄で判別できます。
- 3. 証明の範囲外が明示されているか附帯事項や注記の欄で、証明の対象ではない項目が示されているか。範囲を狭く書く書面のほうが読み取れる情報が多くなります。
- 4. 第三者の検査プログラムの登録があるかアンチ・ドーピングなどの検査プログラムに登録がある場合、その名称と登録番号が公開されているか。
- 5. 製造工程の分担が説明されているか原料の調達、加工、充填、箱詰めのそれぞれをどこの国で誰が担っているかが説明されているか。
- 6. 製造管理の基準名が示されているか製造を行う工場がどの基準に沿って運用されているか、基準の名称が示されているか。書面まで出ることは多くありません。
- 7. ロット単位の検査について説明があるか出荷ロットごとにどの項目をどの頻度で検査しているかの説明があるか。記録そのものは通常公開されません。
- 8. 問い合わせ窓口が機能しているか上記1から7について質問したとき、窓口から具体的な回答が返るか。回答の粒度が記録の有無を反映します。
8項目は、どの順番で見るのが効率的か?
順番は、第三者が発行した書面から見て、次に自社作成の説明資料、最後に問い合わせによる回答という順です。検証しにくいものほど後ろに置きます。
手順は4段です。第1段で第三者発行の書面を探し、第2段でその書面の範囲外の注記を読み、第3段で自社作成の工程説明を読み、第4段で書面の出ない項目について問い合わせます。第1段と第2段だけで、確かめられる度合いのおおよそは判別できます。第3段は、書面のない領域について事業者がどこまで具体的に書いているかを見る段階です。第4段まで進むかどうかは、第1段から第3段の結果で決めて構いません。書面がまったく出てこない場合、第4段で得られる回答も検証の手がかりにはなりにくいためです。逆に第1段で複数の書面が出てくる場合、第4段の回答も具体的である傾向があります。
- 手順1|第三者発行の書面を探す試験成績証明書、認証機関が発行した証明書、試験の声明書など、販売者以外が発行した書面を探します。
- 手順2|範囲外の注記を読む見つけた書面の中で、証明の対象ではないと書かれている項目を確認します。多くは加工地や原産地に関する記載です。
- 手順3|工程の説明資料を読む原料の調達から箱詰めまでの分担が、国と事業者の単位で説明されているかを読みます。
- 手順4|残りを問い合わせるロット単位の検査、製造管理の基準名など、書面が出ない項目について窓口に質問し、回答の具体性を見ます。
「高純度」「国内製造」という表示は、どこまでを意味しているか?
どちらの表示も、それ自体は管理の水準を示していません。示しているのは測定結果と工程の所在であり、確かめるには対応する書面が別に要ります。
| よく見る表示 | その表示が示していること | 示していないこと | 確かめるのに要るもの |
|---|---|---|---|
| 高純度 | 供試品1点の測定結果が高い値だったこと | 購入するロットの中身 | 試験成績証明書(発行者・方法・日付つき) |
| 国内製造 | 加工や充填の工程が国内であること | 原料そのものの産地 | 製造工程の分担を示す説明資料 |
| 第三者検査済み | 外部の検査を受けた事実 | 検査項目の範囲と頻度 | 証明書と登録番号 |
| 安全性を確認 | 特定の条件下での評価が行われたこと | その条件を外れた場合のこと | 試験の対象・人数・期間が書かれた資料 |
| 品質管理体制 | 仕組みが定められていること | 個々のロットの品質 | 基準の名称と、外部確認の事実を示す書面 |
自社調べ。表示の語が示す範囲と示さない範囲を、確認に必要な資料と対応させて整理したものです。
よくある質問
- 認証マークがあれば、品質は保証されていますか。
- 保証されていません。認証は、定められた基準に沿った仕組みが整っていることを外部が確認した事実を示すもので、個々のロットの中身を示すものではありません。ロットの中身は、そのロットについての検査記録の側で確かめる項目です。
- 国内製造であれば、管理の水準も高いと考えてよいですか。
- 別の項目として見る必要があります。国内製造は工程の所在を示す事実であり、管理の水準を示す指標ではありません。どの基準に沿って運用しているかは、工程の所在とは切り離して確認してください。
- ロットごとの検査記録は、公開されないのが普通ですか。
- 公開されないことが一般的です。社内の記録であり、第三者が発行した書面ではないため、公開しても買う側が検証できる形になりません。確かめられるのは、どの項目をどの頻度で検査しているかという説明までです。
- 書面に「証明の対象ではない」と書かれていると、信頼できないということですか。
- 逆です。証明の範囲が明示されている書面は、どこまでが第三者の証明で、どこからが依頼者の申告かの線が引けます。範囲の記載が無い書面より、読み取れる情報が多くなります。
- 8項目のうち、最低限どれを見ればよいですか。
- 項目1から3までの3つで、確かめられる度合いのおおよそは判別できます。第三者が発行した書面があるか、発行者が販売者と別か、証明の範囲が明示されているかの3点です。
- 問い合わせても回答が返ってこない場合は、どう扱えばよいですか。
- その事業者については判断材料が得られなかったものとして扱うのが実務的です。回答が無いこと自体は製品の欠陥を意味しませんが、買った後に確認したいことが出たときの見通しにはなります。
この記事について
出典
- 一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所 発行 試験成績証明書(第 320G039306-001 号/2021年1月12日/試験方法:高速液体クロマトグラフ法)
- Informed Sport(LGC)証明書(対象製品の登録番号 06465)
- 臨床試験安全性声明書(多施設・ランダム化・二重盲検・プラセボ対照/1日300mg×60日/n=66/40〜65歳/安全性の評価のみ)
- Sandalova et al., GeroScience, 2024(市販18製品の実測とラベル乖離の報告)
- Fukamizu et al., Scientific Reports, 2022(健康成人31名・β-NMN 1250mg/日×4週間の安全性に関する報告)
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工程の所在から確かめる場合は日本製の記事が近く、マークの意味から入る場合は対応表の記事があります。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。サプリメントの摂取については、かかりつけの医師にご相談ください。
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