結論
HPMC という語で確かめられるのは、カプセルの殻に使われている素材の名前までです。中身の NMN がどれだけ入っているかは、商品スペックの「NMN 150mg × 60カプセル」という数字が別に受け持っています。殻の欄と量の欄を分けて読み、どちらにも書かれていないことは販売者に尋ねる問いとして控えます。
商品スペックの「NMN 150mg × 60カプセル」は、何を書いている表示か?
商品スペックの「NMN 150mg × 60カプセル」は、1粒に入っている NMN の量と、1箱の粒数を書いた表示です。殻の素材や殻の重さは、この数字には入っていません。殻について知りたいときは、原材料表示の欄へ移ります。

数字を左から順に読みます。最初の NMN 150mg は、1粒に含まれる NMN の量で、表示の上では NMN という成分名に付いた数字です。次の60カプセルは、1箱に入っている粒の数を指しています。掛け合わせると、1箱あたりの NMN の総量は9,000mgと計算できます。ここまでは、箱を開けなくても手元の電卓で確かめられる範囲です。150mgという数字は、殻を含めた1粒の重さではありません。殻が HPMC なのか別の素材なのか、殻が何mgあるのかは、このスペックの一行からは読み取れない情報です。量の話と器の話が、別の行に分かれて書かれている。読み始めにこの区切りを押さえておくと、あとで欄を取り違えません。
殻の素材を書くのは、原材料表示の欄の役目です。HPMC は、原材料名の並びの中に、素材名そのものか略称で出てきます。量を確かめるならスペックの行、殻を確かめるなら原材料の行。見る場所が2か所に分かれているのは、表示が答えている問いが2つあるからです。
中身の割合をさらに確かめたいときは、第三者が測った書面の側に進みます。手元にある試験成績証明書(第 320G039306-001 号)は、一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所が2021年1月12日付で発行したもので、試験結果は 99.9、単位は %、試験方法は高速液体クロマトグラフ法と書かれています。測っているのは中身の目的成分の割合で、殻の素材は測定の対象に入っていません。
| 表示の部分 | 書かれている内容 | そこから確かめられること | そこからは分からないこと |
|---|---|---|---|
| NMN 150mg | 1粒あたりの NMN の量 | 1粒に入る NMN の申告量 | 殻の素材と殻の重さ |
| 60カプセル | 1箱の粒数 | 1箱に何粒あるか | 粒ごとの量のばらつき |
| 掛け算の結果 | 150mg × 60 = 9,000mg | 1箱あたりの NMN の総量(計算値) | 表示どおり入っているかの実測 |
| 試験成績証明書 | 99.9(%)/高速液体クロマトグラフ法 | 供試品の目的成分の割合 | 殻の素材(測定の対象外) |
自社調べ。商品スペックの表示と、保管している試験成績証明書1通の記載事項を、確かめられる範囲ごとに並べたものです。
HPMC という語は、原材料表示のどこに、どう書かれるか?
HPMC は、原材料表示の欄に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースという素材名か、その略称で出てきます。中身の成分と同じ欄に並ぶため、名前の位置と意味を合わせて読むと、殻に当たる語を見分けられます。

食品表示基準では、原材料は重量の割合の高いものから順に書き、添加物は原材料と区分して書く決まりになっています。区分のしかたは製品ごとに違い、記号の「/」で区切る書き方、改行で分ける書き方、添加物の欄を別に設ける書き方があります。殻の素材がどちらの側に出てくるかも、製品の表示の作り方で変わります。HPMC の書き方にも幅があり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと素材名をそのまま書く例、HPMC と略称で書く例、カプセルという語のあとに括弧で素材名を添える例が見られます。どの書き方でも指しているのは殻の素材で、中身の NMN とは別の語です。見慣れないカタカナの長い名前が並んでいると、中身の何かだと受け取りやすいのですが、まずは殻の候補として疑ってみる。そのうえで、並びの位置と区切り記号を確かめます。
重量順の決まりは、殻の素材を読むときにも手がかりになります。並びの先頭に近い語ほど、製品の中で重量の割合が高い原材料です。ただし並び順が示すのは重量の多い少ないの順番までで、何mg入っているかという数字までは示しません。
- 素材名で書く例ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、長い名前のまま並ぶ。
- 略称で書く例HPMC とアルファベットで書かれる。
- 括弧で添える例カプセルという語のあとに、括弧で素材名が入る。
- 区切りの見方「/」や改行、別の欄で、原材料と添加物が分けられている。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 原材料表示の欄に HPMC と書かれていても、殻の厚みや溶け方といった細かな性質は、素材名からは決まりません。
- 原材料名の並び順は重量の多い順を示しますが、殻が1粒の中で何mgを占めるかは、並び順からは分かりません。
- 殻の素材が添加物の側に書かれるか原材料の側に書かれるかは製品ごとに違い、すべての製品に共通する一つの書き方があるわけではありません。
原材料表示と商品スペックだけでは、何が分からないか?
原材料表示と商品スペックだけでは、表示どおりの量が実際に入っているか、殻の性質がどうか、ロットごとに差があるかは分かりません。表示は作り手の申告で、実測の記録ではないからです。
表示と中身がずれうることは、第三者の測定で報告されています。Sandalova らが2024年に GeroScience で報告した市販18製品の測定では、表示に対する乖離が +28.6% から -100% の範囲に広がり、3製品からは NMN が検出されませんでした。マイナス100%は、表示にあるものが入っていなかったという意味です。特定の時期と販売経路のサンプルなので、国内の市場全体を表す数字ではありません。読み取れるのは、スペックの150mgという数字そのものが中身を保証するわけではない、という一点です。数字を裏づけるのは、第三者が中身を測った書面の側になります。殻の HPMC についても同じ構造で読めて、原材料の欄に素材名があることと、その素材で作られたことを外の誰かが確かめたこととは、別の話として扱います。
書かれていないことを、書かれていることから推し量らない。殻の素材名から飲みやすさを読んだり、150mgという数字から体への変化を読んだりすると、表示が答えていない問いに自分で答えを足すことになります。表示が答えるのは、素材の名前と申告された量まで。その先は、書面か販売者への問い合わせに持っていく問いです。
- 量の実測スペックは申告。実際の量は第三者の測定書面で確かめる。
- 殻の性質素材名は分かっても、厚みや溶け方は表示の外。
- ロットの差箱ごとの違いは、表示の一行からは読めない。
- 体への働き表示も書面も、体の変化については答えていない。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 商品スペックの150mgが1粒ごとに実際に入っているかは、表示だけでは分かりません。第三者が測った書面で確かめる問いです。
- 殻の素材が HPMC と書かれていても、その殻がどこで作られたか、誰が素材を確かめたかは、原材料表示の欄には書かれていません。
- この記事は表示と書面で確かめられる範囲を扱うもので、飲んだときの体感や体への働きについては扱いません。
HPMC カプセルについて、買う前に箱の裏で確かめる5項目は何か?
買う前に確かめる5項目は、殻の素材名の有無、殻の語の位置、1粒の NMN の量、粒数と総量の計算、そして量を裏づける書面の有無です。どれも箱の裏と販売ページで確かめられます。
5項目は、器の話から中身の話へ降りる順に並べました。項目1と項目2は殻の素材を読む作業で、原材料表示の欄だけを見ます。項目3と項目4は量を読む作業で、商品スペックの行と電卓を使います。最後の項目5は、表示の外に出て、申告された量を第三者が測った書面があるかを探す作業です。5項目のうち空欄になった項目は、そのまま販売者に尋ねる問いに変わります。たとえば項目1で殻の素材名が見つからなければ、殻に何を使っているかを尋ねます。項目5で書面が見つからなければ、量を測った試験の書面があるかを尋ねます。埋まった項目と空欄の項目を両方残しておくと、別の製品と並べたときに、どこが確かめられていてどこが確かめられていないかが一目で比べられます。
- 項目1|殻の素材名が書かれているか原材料表示の欄に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC、カプセル(素材名)のいずれかが出てくるか。
- 項目2|殻の語が、どの区切りの側にあるか「/」や改行、添加物の欄で分けられた、原材料と添加物のどちらの側に殻の語が出ているか。
- 項目3|1粒の NMN の量が書かれているか商品スペックに、1粒あたりの NMN の量が数字で書かれているか。殻の重さと混ざっていないか。
- 項目4|粒数と総量が掛け算で合うか1粒の量 × 粒数 が、箱あたりの総量と一致するか。NMN 150mg × 60カプセルなら9,000mgになる。
- 項目5|量を測った書面が示されているか申告された量や割合を、第三者が測った試験成績証明書などの書面が、販売ページで示されているか。
5項目は、どの順番で読むと欄を取り違えないか?
読む順番は、原材料表示の欄で殻の語を探し、次に商品スペックの行で量を読み、最後に書面へ進む流れが取り違えにくい順です。殻と量を同じ欄で片づけようとすると、問いの相手を間違えます。

手順は4段です。1段目で原材料表示の欄を開き、並んだ語を全部書き出します。2段目で、書き出した語を中身の成分と殻や添加物とに仕分け、HPMC に当たる語に印をつけます。3段目で商品スペックの行に移り、1粒の量と粒数を控えて掛け算をします。4段目で、販売ページに試験の書面が示されているかを探し、あれば発行者と試験方法と発行日の3つの欄を読みます。1製品あたり10分ほどで一巡できる作業量です。書き出した語と数字は捨てずに残します。次の製品を読むとき、同じ順に同じ欄を見るだけで済み、比べる手間が大きく減るからです。途中で欄が見つからなかった段は、空欄のまま次の段に進み、最後にまとめて問い合わせに回します。
- 手順1|原材料の語を全部書き出す|箱の裏の原材料表示の欄を開き、並んでいる語を順番どおりに書き写します。
- 手順2|殻の語に印をつける|書き出した語を中身と殻・添加物に分け、HPMC に当たる語と区切りの位置に印をつけます。
- 手順3|スペックで量を計算する|1粒の NMN の量と粒数を控え、掛け算で箱あたりの総量を出します。
- 手順4|書面の3つの欄を読む|試験の書面があれば、発行者、試験方法、発行日を読みます。無ければ問い合わせの問いに回します。
殻の素材名、1粒の量、純度の書面は、それぞれ何に答えているか?
殻の素材名は器の材質に、1粒の量は申告された中身の量に、純度の書面は測られた中身の割合に答えています。3つは答える問いが違うため、1つの欄で残りの2つを代わりに確かめることはできません。
| 見る場所 | 答えている問い | 答えていない問い |
|---|---|---|
| 原材料表示の欄(HPMC) | 殻に何の素材を使っているか | 殻の厚みや溶け方、中身の量 |
| 原材料名の並び順 | 重量の割合の多い順 | それぞれが何mg入っているか |
| 商品スペック(NMN 150mg) | 1粒に入る NMN の申告量 | 表示どおり入っているかの実測 |
| 粒数と掛け算 | 1箱あたりの総量の計算値 | ロットごとの差 |
| 試験成績証明書 | 供試品の目的成分の割合 | 殻の素材、体への働き |
自社調べ。原材料表示、商品スペック、試験成績証明書が答えている問いと答えていない問いを、見る場所ごとに整理したものです。
よくある質問
- HPMC カプセルは、原材料表示のどこに書かれていますか。
- 原材料表示の欄に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースという素材名か、HPMC という略称で並びます。原材料と添加物は区分して書く決まりがあり、殻の語がどちらの側に出るかは製品ごとに違います。区切りの「/」や改行、添加物の欄を手がかりに探します。
- 商品スペックの150mgには、カプセルの殻の重さも含まれていますか。
- NMN 150mg × 60カプセルという表示の150mgは、NMN という成分名に付いた数字で、1粒に入る NMN の量を書いたものです。殻の素材や殻の重さは、この数字とは別の情報です。殻については原材料表示の欄を読みます。
- 原材料名の並び順から、殻の量は分かりますか。
- 並び順から分かるのは、重量の割合が多い順番までです。殻が1粒の中で何mgを占めるかという数字は、並び順からは読み取れません。数字が要る場合は、販売者に尋ねる問いとして控えます。
- HPMC と書かれていれば、中身の量も確かめられたことになりますか。
- なりません。HPMC は殻の素材の名前で、中身の量には答えていません。中身の量は商品スペックの数字が申告し、その数字を実際に測ったかどうかは、第三者の試験成績証明書などの書面で確かめます。
- 表示で分からないことは、だれに尋ねればよいですか。
- 殻の素材や殻の重さ、量を測った書面の有無といった表示についての問いは、販売者に尋ねます。持病や服薬との関係のように自分の体についての問いは、成分表示を持って医師か薬剤師に相談します。
この記事について
出典
- 商品スペック(NMN 150mg × 60カプセル)
- 一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所 発行 試験成績証明書(第 320G039306-001 号/2021年1月12日/試験方法:高速液体クロマトグラフ法)
- Sandalova et al., GeroScience, 2024(市販18製品の測定で表示との乖離が +28.6% から -100% の範囲、3製品は NMN が検出されなかったと報告)
- 食品表示基準(消費者庁)原材料名の表示の順序と、添加物の区分表示
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