結論
販売者が答えられるのは、表示に書いた事項と、手元にある書面の中身と、注文や配送の手続きです。体への働きや病気との関係は、食品の決まりの上で販売者からは言えません。尋ねる前に、質問を表示・書面・医師の3つの窓口に振り分けて確かめます。
販売者が書面で答えられる範囲は、実際にどう書かれているか?
当社が書面で答えられるのは、純度の試験結果と、臨床試験で安全性を確認した範囲です。体への働きについては、どちらの書面も効能を示すものではなく、販売者の立場からは言えません。何がどこまで書かれているかは、書面の試験項目と対象の欄を読めば確かめられます。
販売者が答えの根拠にできるのは、手元にある書面の記載です。当社の場合、純度は一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所が発行した試験成績証明書(第 320G039306-001 号)で示しており、試験結果は 99.9、単位は %、試験方法は高速液体クロマトグラフ法と書かれています。表示では 高純度NMN(純度99.9%) と書いており、この数字の出どころを尋ねられれば、書面の欄を示して答えられます。安全性は、臨床試験の声明書で示しています。多施設・ランダム化・二重盲検・プラセボ対照の試験で、対象は40〜65歳の健康な成人66名、量は 1日300mg×60日、評価したのは安全性です。こうした記載は、問い合わせに対して書面のどの欄に何と書かれているかをそのまま答えられる範囲です。
書面を出す側も、答える範囲に線を引いています。試験成績証明書には ※検体に関する附帯事項は、当法人が証明する事項ではありません と注記があり、発行者が証明するのは試験した結果までだと書面の上で区切っています。販売者の答えも同じ形で、書面に書かれた範囲までが答えられることになります。
| 書面 | 書かれていること | その書面から答えられないこと |
|---|---|---|
| 試験成績証明書(第 320G039306-001 号) | 試験結果 99.9、単位 %、試験方法 高速液体クロマトグラフ法 | 体への働き、手元の箱が同じロットか |
| 臨床試験の安全性声明書 | 40〜65歳の健康な成人66名、1日300mg×60日、評価は安全性 | 効能、持病や服薬のある人への当てはまり |
| 表示(箱) | 名称、内容量、原材料名、保存方法、表示責任者 | 中身を外部が測った結果 |
自社調べ。当社が保管している試験成績証明書と臨床試験の安全性声明書、製品の表示の記載を書き起こしたものです。書面画像は、転載に発行機関の承認が要ると書面に明記されているため掲載していません。
販売者が「お答えできません」と返すのは、どんな質問か?
販売者が答えを控えるのは、体への働き、病気との関係、症状が変わるかどうかを尋ねる質問です。こうした問いへの答えは、食品の販売者が言える範囲に入らず、問い合わせの窓口からは言えません。どの質問が当たるかは、問いに病名や体の変化の言葉が入っているかで見分けて確かめます。

線を引いているのは、食品と医薬品を分ける決まりです。医薬品医療機器等法は、医薬品として承認を受けていないものが、医薬品と同じような働きをうたうことを禁じています。健康増進法も、食品の健康にかかわる表示について、事実と大きく違う書き方や、人を誤認させる書き方を禁じています。サプリメントは食品として売られるので、販売者が問い合わせの返事で症状や検査の数値が変わると書けば、それ自体がこうした決まりに触れるおそれがあります。返事は広告ではないと思うかもしれませんが、販売者が商品について顧客に伝える言葉は、広告と同じ目で見られます。そのため窓口は、効能や体感を尋ねる質問に「お答えできません」と返す決まりを持っていることが多い。答えないことは、隠しているという意味ではなく、言える範囲の外にあるという意味です。
答えが返らないのは、質問の中身に対してであって、問い合わせそのものを断っているわけではありません。同じ製品について、原材料、内容量、試験の書面、保存の方法を尋ねれば、多くの窓口は答えます。断られた質問を言い換えるより、答えられる範囲の質問に組み替えるほうが、知りたいことに近づけます。
- 答えを控える質問体への働き、病気との関係、症状や数値が変わるか
- 線を引く決まり医薬品医療機器等法と健康増進法
- 組み替え方原材料、内容量、試験の書面、保存の方法を尋ねる形にする
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 窓口ごとに、どこまでを効能の質問とみなして答えを控えるかの線は、外からは読み取れない
- 同じ質問でも、言い回しによって答えが返るかどうかが窓口ごとに違う
飲み合わせや持病の質問は、なぜ販売者の答えの外にあるのか?
飲み合わせや持病の質問は、その人の体と飲んでいる薬を知る医師や薬剤師が答える問いです。販売者の書面が扱う範囲は健康な成人を対象にした試験までで、持病や服薬のある人に当てはまるかは言えません。手元の薬の名前と量を書き出し、医師や薬剤師に見せて確かめます。

飲み合わせの判断には、その人の持病、飲んでいる薬の種類と量、体質といった、販売者が持っていない情報が要ります。販売者が持っているのは、製品に何が入っているかと、どの条件で試験をしたかの記録までです。当社の臨床試験の声明書でも、対象は40〜65歳の健康な成人で、評価したのは安全性です。この記録を、持病のある人や薬を飲んでいる人にそのまま当てはめることはできません。販売者が「大丈夫です」と答えれば、医療の判断を代わりにしたことになり、逆に「やめてください」と答えても同じです。そのため窓口は、飲み合わせの質問には、医師や薬剤師への相談を勧める返事をすることが多い。販売者に頼めるのは、相談のときに見せる材料の方です。原材料名、1粒あたりの量、添加物の一覧は、表示か販売者の書面で出せる情報で、これを持って相談すると、医師や薬剤師が判断しやすくなります。
コーヒーやお酒と一緒にとってよいかという質問も、扱いは近い形になります。日々の食べ合わせを製品ごとに試した記録は多くなく、販売者が答えられるのは、製品に何が入っているかまでです。
- 販売者が出せる材料原材料名、1粒あたりの量、添加物の一覧
- 医師・薬剤師が判断すること持病や服薬のある人がとってよいか
- 試験の対象健康な成人を対象にした記録で、持病のある人には当てはめられない
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 持病や服薬のある人が NMN をとったときの記録は、健康な成人の試験ほどそろっていない
- コーヒーやお酒と一緒にとった場合を製品ごとに調べた記録は少ない
問い合わせる前に、質問をどう振り分ければよいか?
質問は、表示を読めば分かるもの、販売者の書面で分かるもの、医師や薬剤師に尋ねるものの3つに振り分けられます。振り分けずに送ると、答えられない質問が混ざって返事全体が短くなりやすく、知りたいことに届くとは言い切れません。送る前に、質問ごとに窓口を書き添えて確かめます。
振り分けには、決まった順番があります。最初に、知りたいことを1行ずつ書き出します。次に、それぞれの行が、箱の表示を読めば分かるものかを見ます。名称、内容量、原材料名、賞味期限、保存方法、表示責任者は、表示で確かめられます。三つ目に、表示で分からない行のうち、試験の結果、製造の場所、ロットごとの記録に当たるものを、販売者への質問に回します。四つ目に、病気、症状、薬との飲み合わせ、体の変化に触れる行を、医師や薬剤師への相談に回します。五つ目に、販売者に送る質問を、書面のどの欄を見せてほしいかという形に書き直します。「純度は確かですか」より「純度を測った書面の試験方法の欄を見せてください」のほうが、答えの形がはっきりします。最後に、返ってきた答えを、表示や書面と照らし合わせます。
振り分けた紙は、捨てずに残しておくと次の比較で使えます。別の製品を検討するときも、同じ行を同じ窓口に送れば、答えを横に並べて比べられます。
- 手順1|知りたいことを書き出す|質問を1行に1つずつ書きます。
- 手順2|表示で分かる行を外す|名称、内容量、原材料名、賞味期限、保存方法、表示責任者は箱で確かめます。
- 手順3|販売者に回す行を選ぶ|試験の結果、製造の場所、ロットごとの記録を販売者への質問にします。
- 手順4|医師・薬剤師に回す行を選ぶ|病気、症状、薬との飲み合わせ、体の変化に触れる行です。
- 手順5|書面の欄を尋ねる形にする|どの書面のどの欄を見せてほしいかで書き直します。
- 手順6|答えを照らし合わせる|返ってきた答えを、表示や書面の記載と突き合わせます。
表示で分かること、書面で分かること、販売者が答えないことは、どう分かれるか?
表示で分かるのは事業者が書いた事項、書面で分かるのは外部が測った結果、販売者が答えを控えるのは体への働きと医療の判断です。表示と書面のどちらにも、効能や持病への当てはまりは書かれておらず、販売者の答えからも言えません。手元の質問を3つの列に当てはめて見比べます。
列ごとに、確かめる手段が違います。表示の列は、箱を手に取ればその場で確かめられます。書面の列は、販売者に書面を出してもらうか、公開された書面を読んで確かめます。販売者が答えない列は、医師や薬剤師に相談するか、公的な機関の情報を読む形になります。表示の数字は事業者が書いた値で、通販サイト上位22製品を測った報告では、表示どおりだったのは14%で、64%は NMN が1%未満だったとされています。表示の列に並ぶ数字も、裏づけは書面の列で取る、という関係を表に書き込んでおくと、表示だけで安心しすぎずに済みます。3つの列の線を先に引いてから問い合わせると、「お答えできません」が返ってきても、その質問がどの列にあったかで次の行き先が決まります。
| 質問の例 | 表示で分かるか | 販売者の書面で分かるか | 販売者が答えない場合の行き先 |
|---|---|---|---|
| 1粒にどれだけ入っているか | 分かる(事業者が書いた値) | 試験の書面で裏づけを取る | なし |
| 純度を誰がどう測ったか | 分からない | 試験成績証明書の試験方法の欄 | なし |
| どこで作られたか | 製造所の欄か製造所固有記号 | 製造の説明書面 | なし |
| 薬と一緒に飲んでよいか | 分からない | 分からない | 医師・薬剤師 |
| 症状や数値が変わるか | 分からない | 分からない | 医師、公的機関の情報 |
自社調べ。食品表示の決まり、医薬品医療機器等法と健康増進法の考え方、当社が保管している書面の記載をもとに整理しました。窓口ごとの答え方は事業者ごとに違います。
よくある質問
- 販売者に「お答えできません」と言われたのは、なぜですか。
- 体への働き、病気との関係、症状が変わるかといった質問は、食品の販売者が言える範囲の外にあるためです。医薬品医療機器等法と健康増進法が、食品で効能をうたうことや誤認させる表示を禁じています。
- 販売者に尋ねてよいのは、どんなことですか。
- 原材料、内容量、保存の方法、試験の書面の記載、製造の場所、ロットごとの記録、注文や配送、返品の手続きです。書面のどの欄を見せてほしいかで尋ねると、答えの形がはっきりします。
- 薬を飲んでいる場合、販売者に飲み合わせを聞けますか。
- 飲み合わせの判断は、持病や薬の情報を持つ医師や薬剤師が行います。販売者には原材料名や1粒あたりの量を出してもらい、それを持って相談すると判断の材料になります。
- 当社の書面では、何がどこまで書かれていますか。
- 純度は試験成績証明書に試験結果 99.9、単位 %、試験方法 高速液体クロマトグラフ法と書かれています。安全性は臨床試験の声明書で、40〜65歳の健康な成人66名に1日300mg×60日、評価したのは安全性です。効能を示す書面ではありません。
- 書面を出す機関も、答える範囲を区切っていますか。
- 区切っています。当社の試験成績証明書には、検体に関する附帯事項は発行者が証明する事項ではないと注記があり、証明するのは試験した結果までだと書面の上で示しています。
- 断られた質問は、言い換えれば答えてもらえますか。
- 効能の質問を言い換えても、言える範囲の外にあることは変わりません。原材料や試験の書面の記載を尋ねる形に組み替えるか、医師や薬剤師に相談するほうが、知りたいことに近づけます。
この記事について
出典
- 医薬品医療機器等法(厚生労働省)における、承認を受けていないものが医薬品と同じような働きをうたうことの禁止
- 健康増進法(消費者庁)における、食品の健康にかかわる虚偽・誇大な表示の禁止
- NMN臨床試験安全性声明書(日本向け)— 多施設・ランダム化・二重盲検・プラセボ対照/n=66/40〜65歳の健康な成人/1日300mg×60日/安全性の評価
- 試験成績証明書(第 320G039306-001 号/一般財団法人 日本食品検査 首都圏事業所/試験結果 99.9・単位 %/試験方法 高速液体クロマトグラフ法/検体に関する附帯事項の注記)
- ChromaDex, 2021(通販サイト上位22製品の測定。表示どおりだったのは14%、64%は NMN が1%未満)
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。サプリメントの摂取については、かかりつけの医師にご相談ください。
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