結論
日本製や国内製造の表示がどの工程までを指すかは、工程を名指しして販売者に尋ねると答えが返りやすくなります。混合、充填、包装のどれを国内で行っているか、製造の管理の基準、日本製とする根拠、書面の有無の4点を尋ね、答えを工程ごとに書き分けます。表示の一語だけでは、原料の産地までは分かりません。
この製品の日本製の表示は、書面でどの工程までたどれるか?
製品の日本製の表示は、完成品を国内で作ったことを指し、書面でたどれるのは製造と充填の工程までです。原料そのものの産地は、同じ表示の範囲には入っていません。

書面の記載をそのまま並べます。国内製造の説明書面には、日本国産(完成品)/国内製造/日本国内で製造・充填と書かれています。製造の管理については、国内GMP水準の製造管理(JIHFS)の書面があり、工場での作り方と記録の付け方が一定の基準に沿っていることを示しています。2つを重ねて読むと、国内で行われていると書面で言えるのは、完成品を作る工程、つまり中身をカプセルに詰めて製品の形にするところまでです。一方で、原料をどこで作ったかは、この2つの書面の主題ではありません。完成品の表示と原料の産地は、別の問いとして分けて持つのが正確な読み方になります。
販売者に尋ねる文面をつくるときも、この分け方がそのまま使えます。完成品の工程を尋ねる問いと、原料の産地を尋ねる問いを1通に混ぜると、返事がどちらに答えているのか読み取りにくくなるからです。問いを工程ごとに切り分けておくと、返事もその単位で返ってきます。
- 表示の範囲日本国産(完成品)。完成品を国内で作ったことを指します。
- 書面でたどれる工程日本国内で製造・充填。中身を詰めて製品の形にする工程です。
- 製造の管理国内GMP水準の製造管理(JIHFS)の書面で確かめます。
- 別の問い原料の産地は、完成品の表示とは別に尋ねる対象です。
日本製という表示は、どの工程を基準に決まるのか?
日本製という原産国の表示は、その商品の内容に実質的な変更をもたらす工程を行った国で決まります。原料をどこで作ったかではなく、商品の形と中身を決める工程がどこで行われたかが基準です。

消費者庁の原産国の表示に関する告示では、原産国を、その商品の内容に実質的な変更をもたらす行為が行われた国と定めています。サプリメントで言えば、粉を量って混ぜ、カプセルに詰め、製品として包装する工程のうち、どこまでが実質的な変更に当たるかで原産国が決まる、という考え方です。この基準に沿うと、原料を国外で作り、国内で製品に仕上げた完成品も、日本製と表示できる場合があります。表示そのものは誤りではありません。ただし、読み手が思い浮かべる日本製と、表示が指す日本製がずれることは起こり得ます。原料の産地も含めて受け取る人もいれば、仕上げの工程だけを指すと受け取る人もいる。だから尋ねる側は、どの工程のことを知りたいのかを先に決めておく必要があります。
工程の区切り方は製品ごとに異なります。混合と充填を同じ工場で行う製品もあれば、充填と包装を別の工場で行う製品もあります。工程の名前をいくつか知っておくと、尋ねる文面が具体的になり、返事も工程の単位で返ってきます。工程の名前を並べておくと、問いと答えを同じ単位で突き合わせられます。返事が届いたら、どの工程の答えかを先に書き込んでから中身を読むと、取り違えが起きにくくなります。
- 原産国の基準商品の内容に実質的な変更をもたらす工程を行った国です。
- 原料とは別原料の産地が国外でも、完成品の工程が国内なら日本製と表示できる場合があります。
- 受け取り方のずれ表示が指す範囲と、読み手の思い浮かべる範囲がずれることがあります。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- どの工程を実質的な変更とみなすかは、商品の種類ごとに運用が分かれる部分があり、サプリメントのすべての工程について一律の線が公開されているわけではありません。
- 日本製の表示だけからは、原料の産地や、工程ごとにどの工場が関わったかは分かりません。
日本製の表示を読んでも、分からないことは何か?
日本製の表示から分からないのは、原料の産地と、工程ごとにどの工場が関わったかです。表示は完成品の原産国を1語で示すもので、途中の工程の地図までは載せていません。
表示の外側にあるものを3つに分けます。1つ目は原料の産地です。完成品が日本製でも、原料の産地は表示の対象ではないため、別に尋ねない限り分かりません。2つ目は工程ごとの担い手です。混合、充填、包装のそれぞれを誰がどこで行ったかは、表示には出てきません。3つ目は中身の量です。どこで作ったかと、表示どおりの量が入っているかは、別の話です。Sandalova らが2024年に GeroScience で報告した市販18製品の実測では、表示に対する乖離が +28.6% から -100% まで広がっていました。この報告は原産国ごとに分けた調査ではなく、どこで作ったかで中身の量が決まるとは読めません。製造地の問いと、中身の問いは、別々に確かめます。
尋ねる文面では、この3つを混ぜないことが要になります。1通に全部を書くと、返事がどの問いに答えたのかが曖昧になります。問いごとに番号を振り、答えも番号で返してもらう形にしておくと、読み分けが楽になります。読み分けた表は、次に別の製品を調べるときの下敷きになります。
- 原料の産地表示の対象ではないため、別に尋ねない限り分かりません。
- 工程の担い手混合、充填、包装を誰がどこで行ったかは表示に出てきません。
- 中身の量製造地とは別の問いです。試験の書面で確かめます。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 販売者が原料の産地や工場の名前をどこまで開示するかは、取引先との契約によって異なり、外から一律には分かりません。
販売者に送る工程ごとの質問は、どう書けばよいか?
質問は、工程の名前を挙げて、国内で行っているかを1問ずつ尋ねると答えが返りやすくなります。日本製ですかと尋ねるより、混合、充填、包装のどれを国内で行っているかと書くほうが、返事が工程の単位で具体的になります。
文面は5つ用意しました。どれもそのままコピーして送れる長さにしてあります。1つ目は工程の範囲を尋ねるもの、2つ目は製造の管理の基準を尋ねるもの、3つ目は日本製とする根拠の工程を尋ねるもの、4つ目は原料の産地の開示を尋ねるもの、5つ目は書面で示せるかを尋ねるものです。1つ目から3つ目は完成品の工程について、4つ目だけが原料について尋ねています。問いを分けてあるのは、返事がどちらに答えたのかを取り違えないためです。1通にまとめて送るときも、番号を振ったまま送り、答えも番号ごとに返してもらうよう一言添えると、読み分けに使えます。健康状態や飲み合わせについての相談は、この文面には含めていません。そちらは販売者ではなく、医師や薬剤師に相談する範囲です。
- 国内で行っている工程を尋ねる「日本製と表示されている製品について、粉の混合、カプセルへの充填、包装のうち、どの工程を国内で行っているか、工程ごとに教えてください。」
- 製造の管理の基準を尋ねる「国内で行っている工程について、どの基準に沿って製造を管理しているかを教えてください。GMP などの書面があれば、発行元の名称もお願いします。」
- 日本製とする根拠の工程を尋ねる「原産国を日本と表示している根拠は、どの工程を国内で行っていることによるものか、教えてください。」
- 原料の産地の開示を尋ねる「完成品の工程とは別に、原料の産地を開示いただける範囲で教えてください。開示できない場合は、その旨だけでも構いません。」
- 書面で示せるかを尋ねる「1から4のお答えについて、確かめられる書面があれば、画像またはPDFでいただけますか。番号ごとにお答えいただけると助かります。」
返ってきた答えは、どう読み分ければよいか?
返ってきた答えは、工程の名前が挙がっているか、書面で裏づけられるか、の2点で読み分けます。工程の名前と書面がそろった答えは確かめられた範囲に、名前だけの答えは申告として控えます。

読み分けは表を1枚つくると早く進みます。縦に5つの質問の番号、横に答えの中身と書面の有無を並べ、返事を書き写していきます。1番の答えに混合や充填といった工程の名前が出てくれば、国内で行っている範囲が工程の単位で分かります。国内で製造しています、という答えだけなら、どの工程かは分からないままなので、1番をもう一度、工程の名前を挙げて尋ね直します。2番は発行元の名称があれば、その書面を別に確かめられます。4番で開示できないと返ってきたら、それも1つの答えとして記録します。開示の範囲は取引の契約で決まることが多く、答えないことだけで良し悪しは決まりません。5番で書面が届いたら、書面のどの欄が1から4のどれに当たるかを書き込みます。最後に、書面で確かめられた問いと、申告にとどまる問いを分けておけば、別の製品と比べるときにも同じ表が使えます。
- 手順1|答えを番号ごとに書き写す|5つの質問の番号の横に、返ってきた答えをそのまま写します。
- 手順2|工程の名前があるかを見る|混合、充填、包装などの名前が出てこない答えは、尋ね直す対象にします。
- 手順3|書面の欄と対応させる|届いた書面のどの欄が、どの質問の答えに当たるかを書き込みます。
- 手順4|確かめた範囲と申告を分ける|書面で裏づけられた答えと、言葉だけの答えを分けて控えます。
返事の書き方ごとに、言えることはどう違うか?
返事の書き方によって、言えることの幅は決まります。工程の名前と書面がそろえば国内で行った工程まで言え、日本製ですという一言だけなら表示を繰り返した以上のことは言えません。
| 返事の書き方 | そこから言えること | そこからは言えないこと |
|---|---|---|
| 日本製です(工程の名前なし) | 表示と同じ内容の申告 | 国内で行った工程の範囲 |
| 混合と充填を国内で行っています | 国内で行った工程の名前 | 工程を裏づける書面の中身 |
| 工程の名前と、製造管理の書面あり | 工程と、その管理の基準 | 原料の産地 |
| 原料の産地は開示できません | 開示の範囲に制約があること | 原料の産地そのもの |
自社調べ。問い合わせの返事の書き方ごとに、そこから言えることと言えないことを分けたものです。
よくある質問
- 日本製と国内製造は、同じ意味ですか。
- どちらも完成品を国内で作ったことを指す言い方として使われますが、どの工程までを国内で行ったかは、言葉だけでは分かりません。原産国は、商品の内容に実質的な変更をもたらす工程を行った国で決まるため、工程の名前を挙げて販売者に尋ねると範囲がはっきりします。
- 販売者に、どう聞けば工程の範囲が分かりますか。
- 日本製ですかと尋ねるより、粉の混合、カプセルへの充填、包装のうち、どの工程を国内で行っているかを工程ごとに尋ねます。番号を振って送り、答えも番号ごとに返してもらうよう添えると、返事を工程の単位で読み分けられます。
- 日本製の表示があれば、原料も国内のものですか。
- そうとは限りません。原産国の表示は完成品を作る工程の場所で決まり、原料の産地は表示の対象ではありません。原料について知りたい場合は、完成品の工程とは別の問いとして、開示できる範囲を販売者に尋ねます。
- 原料の産地を開示できないと言われたら、どう考えればよいですか。
- 開示の範囲は取引先との契約で決まることが多く、答えないことだけで良し悪しは決まりません。開示できないという答えも1つの記録として控え、完成品の工程と製造の管理については、書面で確かめられる範囲を別に確かめます。
- 工程を国内で行っていることは、書面で確かめられますか。
- 製造の説明書面や製造管理の書面があれば確かめられる範囲が広がります。この製品の場合、国内製造の説明書面に日本国産(完成品)/国内製造/日本国内で製造・充填と書かれ、製造の管理は国内GMP水準の製造管理(JIHFS)の書面で示されています。
- 国内で作っていれば、中身の量も表示どおりと言えますか。
- 言えません。製造地と中身の量は別の問いです。市販18製品を測った2024年の報告では、表示に対する乖離が +28.6% から -100% まで広がっていました。中身の量は、試験の書面で別に確かめます。
この記事について
出典
- 国内製造の説明書面(日本国産(完成品)/国内製造/日本国内で製造・充填)
- GMP の書面(国内GMP水準の製造管理(JIHFS))
- 消費者庁「商品の原産国に関する不当な表示」(原産国は、商品の内容に実質的な変更をもたらす行為が行われた国)
- Sandalova et al., GeroScience, 2024(市販18製品の実測とラベル乖離の報告)
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。サプリメントの摂取については、かかりつけの医師にご相談ください。
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