結論
試験方法の欄は、どの分析法で測ったかを示す欄です。そこから測定の土台は分かりますが、結果が基準を満たしたかどうかは分かりません。この欄が答えている範囲を、先に見極めます。
この欄には、実際に何と書かれているか?
試験方法の欄には、測定に使った分析法が書かれています。手元の書面では、この欄は記号で参照され、欄外に高速液体クロマトグラフ法と記されています。数字ではなく、測り方の名前が入る欄です。

欄の並びをそのまま書き起こすと、試験方法の欄がどこにあるかがはっきりします。試験成績表の見出し行は No/試験項目/試験結果/単位/[検出限界]/試験方法の6つで、試験方法はいちばん右に置かれています。1行目の試験項目にはニコチンアミドモノヌクレオチドと化学名が入り、試験結果は99.9、単位は%、[検出限界]は - で数値の記載がなく、試験方法の欄は記号で参照されて、欄外に高速液体クロマトグラフ法と説明されています。発行は一般財団法人 日本食品検査で、この書面には純度99.9%が記録されています。つまり試験方法の欄は、その数字がどの分析法で出たのかを、結果とは別の欄で示している部分です。
試験方法の欄が別に立っているのには理由があります。同じ試験項目でも、測る方法が違えば、数字の背景も変わるためです。そこで成績表は、結果の数字と、その数字を出した方法とを、別々の欄に分けて残しています。読む側は、結果の欄だけでなく、その隣にある試験方法の欄まで合わせて見ることで、数字がどうやって出たのかまで確かめられます。
試験方法の欄を最初に確かめる癖をつけると、数字の受け取り方が変わります。同じ99.9という数字でも、どの方法で測った99.9なのかが分かると、その数字をどこまで根拠にしてよいかを、自分で見当づけられます。方法の名前は短い一語ですが、結果の欄を読む前提を静かに決めています。書面を開いたら、結果の数字に目を向ける前に、その数字の隣か欄外に、方法の名前が置かれているかを見ておきます。
| 試験成績表の欄 | この1通の記載 | 試験方法の欄との関係 |
|---|---|---|
| 試験項目 | ニコチンアミドモノヌクレオチド | 何を測ったか |
| 試験結果 | 99.9 | 測った結果いくつだったか |
| 単位 | % | その数字が何の単位か |
| 試験方法 | 記号で参照(欄外に高速液体クロマトグラフ法) | その数字をどの分析法で出したか |
自社調べ。保管している試験成績証明書1通の試験成績表を、欄ごとに書き起こしたものです。書面画像は、転載に発行機関の承認が要ると書面に明記されているため掲載していません。
この欄は、何を意味しているか?
試験方法の欄が意味しているのは、その数字を出すために使った分析法の名前です。手元の書面の高速液体クロマトグラフ法は、成分を分けて量を測る、広く使われている方法の一つを指しています。
試験方法の欄を、制度の側から読みます。試験成績を出すときは、どの分析法で測ったかを記録するのが通例で、この欄はその記録の場所です。分析法の名前が書かれていることで、同じ試験項目を別の書面と並べるときに、同じ方法で測ったものどうしなのかを確かめられます。方法がそろっていれば、結果の数字は同じ土俵で読めますし、方法が違えば、数字をそのまま比べる前に、測り方の違いを踏まえる必要があると分かります。試験方法の欄は、結果の数字に、それがどうやって出たのかという背景を添える欄だと言えます。名前だけの短い欄に見えても、数字の読み方を支える情報がここに置かれています。
背景を添える欄だからこそ、結果とセットで意味を持ちます。数字だけを取り出すと、それが精密な方法で出たのか、簡便な方法で出たのかが分からなくなります。試験方法の欄は、その数字を信じてよい範囲を、読み手が自分で判断するための手がかりを渡す欄です。
方法の名前がそろっているかどうかは、書面どうしを並べる前の確認にもなります。二つの成績書で同じ試験項目を比べたいとき、片方が高速液体クロマトグラフ法、もう片方が別の方法だとしたら、数字をそのまま並べる前に、測り方が違うことを踏まえます。方法の欄は、比較してよいかどうかの入り口にある門のようなもので、そこを通ってから数字の話に入ると、読み違えが起きにくくなります。
- 欄が示すものその数字を出すのに使った分析法の名前。
- 記録の通例どの分析法で測ったかを残すのが試験成績の通例。
- 比較の土台同じ方法で測ったものどうしかを確かめられる。
- 数字の背景結果の数字に、どうやって出たかを添える欄。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 分析法の名前だけでは、測定を何回行ったか、ばらつきがどれくらいだったかは分かりません。
- 同じ方法名でも、細かな測定条件までが二つの書面で完全に同じかどうかは、この欄からは分かりません。
この欄は、何を意味していないか?
試験方法の欄は、結果が基準を満たしたかどうかを示していません。方法の名前が書かれていても、その数字が合格だったかは別の欄の話で、この欄からは読み取れません。

言っていないことを、順に置いていきます。一つめは、合否です。試験方法の欄は測り方の名前を示すだけで、その方法で出た数字が基準の内側だったかどうかには触れていません。合否は、規格値の欄と判定の欄がそろって初めて読めるもので、方法の欄だけでは分かりません。二つめは、精度の細部です。方法の名前は分かっても、測定を何回行い、どれくらいばらついたかまではこの欄に書かれていません。三つめは、手元の箱との結びつきです。書面はある時点で測った記録であり、方法の欄を見ても、いま手元にある箱の中身がその方法で測られたものだとは限りません。ロット番号が対応しているかは、別に販売者へ確かめることになります。試験方法の欄は、測り方までを示す欄であって、それ以上を保証する欄ではありません。
空欄や記載なしの読み方も、意味していないことの一つです。試験方法の欄に何も書かれていない場合、それは方法が無かったという意味ではなく、この書面がそこに答えていないという印です。空欄を見て、良い方法だったとも、悪い方法だったとも読めません。答えていない欄は、答えていないまま保留にしておきます。
意味していないことを分けておくのは、書面を過大にも過小にも受け取らないためです。方法の名前が立派に見えても、それは合格の証ではありませんし、方法の欄が短いからといって、測定が雑だったわけでもありません。書面が答えているのは、測り方までです。その先にある合否や、手元の箱との結びつきは、規格値の欄や、販売者への確認や、ロット番号の照合という、別の手がかりでたどることになります。欄の射程を正しく見積もると、足りない情報をどこで補えばよいかも見えてきます。
- 言っていないこと①その数字が基準を満たしたかどうか(合否)。
- 言っていないこと②測定の回数やばらつきといった精度の細部。
- 言っていないこと③手元の箱の中身がその方法で測られたという保証。
- 欄の射程測り方までを示す欄であって、それ以上ではない。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- この欄からは、その数字が受け入れ基準の内側だったかどうかは分かりません。
- 方法の欄を見ても、手元の箱のロットがその測定に対応しているかは分かりません。
手元の書面で、この欄をどう読めばよいか?
読み方の軸は、試験方法の欄を、結果の欄とセットで読むことです。結果の数字だけを見て終わらせず、その隣の試験方法の欄まで見て、どの方法で出た数字かを確かめます。

手を動かして読むなら、段階があります。まず、試験成績表の見出し行を左から読み、試験方法にあたる欄があるかを確かめます。次に、その欄に何が書かれているかを見ます。記号で参照されている場合は、欄外の注記まで目を移し、分析法の名前を読み取ります。続いて、その名前を、結果の数字と結びつけて読みます。この数字は、この方法で測って出たものだ、という形に置き直すと、数字の意味が具体的になります。他社の書面と並べるときは、同じ試験項目の試験方法の欄が、同じ方法名になっているかを見ます。方法がそろっていれば数字を同じ土俵で読めますし、そろっていなければ、比べる前に測り方の違いを踏まえます。最後に、方法の欄が空欄や記載なしになっている場合は、そこは書面が答えていない部分として保留にします。
販売者に聞くときも、欄の名前で聞くと話が早くなります。基準を満たしているかを聞くのではなく、その書面に試験方法の欄があるか、どの分析法で測ったか、無い場合はどの方法で測ったかを別の文書で確かめられるかを聞きます。欄の名前で尋ねると、答える側も書面を見ながら答えられるので、行き違いが起きにくくなります。
読み方を一度身につければ、他の欄にも同じ構えを当てられます。試験結果の欄なら何を測った数字か、単位の欄なら何に対する割合か、というように、欄ごとに、それが答えていることと答えていないことを分けて読みます。試験方法の欄は、その練習の入り口として分かりやすい欄です。ここで、数字の背景を確かめる読み方に慣れておくと、成績書のどの欄に向き合うときも、書いてあることだけを根拠にして、書いていないことは保留にする、という構えを保てます。
- 手順1|試験方法の欄を探す|見出し行を左から読み、試験方法にあたる欄があるかを確かめます。
- 手順2|欄の中身を読む|記号で参照されていれば、欄外の注記まで見て分析法の名前を読み取ります。
- 手順3|結果と結びつける|その数字は、この方法で測って出たものだ、という形に置き直します。
- 手順4|他社の書面とそろえる|同じ試験項目の試験方法の欄が、同じ方法名になっているかを見ます。
この欄がある書面と、無い書面は何が違うか?
違いは、数字がどう出たかまでたどれるかどうかです。試験方法の欄がある書面は、方法まで確かめられます。無い書面は、数字は読めても、それがどの方法で出たのかは分かりません。
どちらの書面かは、見出し行に試験方法にあたる欄があるかどうかで見分けられます。
欄の有無だけでなく、欄があるのに空だった場合の読み方も、そろえておきます。試験方法の欄があって記載がないなら、それは方法を答えていない印で、方法があったともなかったとも読めません。欄そのものが無い書面は、はじめから方法を示す構えを持っていない書面です。どちらも、方法までは確かめられない点は同じで、その数字を他社と比べるときは、測り方の違いを踏まえる余地を残しておきます。
| 観点 | 試験方法の欄がある書面 | 試験方法の欄が無い書面 |
|---|---|---|
| 数字の背景 | どの分析法で出たかまでたどれる | 数字は読めるが方法は分からない |
| 他社との比較 | 同じ方法名どうしかを確かめられる | 方法がそろっているかを確かめられない |
| 空欄の扱い | 記載なしは保留として読む | そもそも欄が無い |
自社調べ。試験成績を示す書面を、試験方法の欄の有無で2つに分けて整理したものです。
よくある質問
- 試験成績書の試験方法の欄は、何を意味しますか。
- その数字を出すために使った分析法の名前を示す欄です。手元の書面では、記号で参照され、欄外に高速液体クロマトグラフ法と記されています。数字が入る欄ではなく、測り方の名前が入る欄なので、結果の欄とセットで読むと、数字がどうやって出たのかまで確かめられます。
- 試験方法の欄から、合格かどうかは分かりますか。
- 分かりません。試験方法の欄は測り方の名前を示すだけで、その数字が基準を満たしたかどうかには触れていません。合否は、規格値の欄と判定の欄がそろって初めて読めます。方法の欄だけを見て、合格や不合格と読むことはできません。
- 高速液体クロマトグラフ法とは、どんな方法ですか。
- 成分を分けて、それぞれの量を測る、広く使われている分析法の一つです。手元の書面では、純度を測るときにこの方法が使われたことが、試験方法の欄の欄外注記に記されています。方法の名前が分かると、別の書面と並べたときに、同じ方法で測ったものどうしかを確かめられます。
- 他社の成績書と数字を比べるとき、試験方法の欄はどう使いますか。
- 同じ試験項目の試験方法の欄が、同じ方法名になっているかを見ます。方法がそろっていれば、結果の数字を同じ土俵で読めます。方法が違えば、数字をそのまま比べる前に、測り方の違いを踏まえる必要があります。方法の欄は、数字を比べてよいかどうかの前提を確かめる欄として使えます。
- 試験方法の欄が記号だけのときは、どう読めばいいですか。
- 記号は、欄外の注記への参照です。成績表の下や欄外に、その記号に対応する分析法の名前が書かれているので、そこまで目を移して読み取ります。記号だけを見て空欄と考えず、参照先の注記まで確かめると、どの方法で測ったかが分かります。
- 試験方法の欄があれば、手元の箱の中身も同じ方法で測られたと考えていいですか。
- そうとは限りません。書面はある時点で測った記録で、方法の欄を見ても、いま手元にある箱の中身がその測定に対応しているかは分かりません。箱に印刷されたロット番号と書面の記載が対応しているかを、販売者に確かめると、結びつきをたどれます。
この記事について
出典
- 試験成績証明書(一般財団法人 日本食品検査/試験成績表の見出しは No・試験項目・試験結果・単位・[検出限界]・試験方法/試験方法は記号で参照され欄外に高速液体クロマトグラフ法と記載/純度99.9%)
- ChromaDex(2021)通販サイト上位22製品中、表示どおりは14%、64%が NMN 1%未満とする調査
- Sandalova et al., GeroScience(2024)18製品の測定で表示との乖離は +28.6% から -100%、3製品は NMN が検出されず
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