結論
続くかどうかを分けるのは、意志の強さではなく、行動を始めるきっかけが環境の側に用意されているかどうかです。研究で繰り返し確かめられているのはこの点で、何日で習慣になるかのほうは個人差が大きく、一つの数字では言えません。
途切れやすい日は、いつ来るのか?
途切れやすいのは、飲み終わった日ではなく、次の箱を開ける日です。60カプセル入りを1日2粒で使う場合、箱を替える日は30日に1回。この日だけ、いつもの手順に「取りに行く」という動作が挟まります。
手元の製品で書き出すと、内容量の表示は NMN 150mg × 60カプセル です。1日2粒で使えば30日、1日1粒なら60日で、開けている箱が空になります。ここまでの29日間は、置き場所に手を伸ばせば終わる同じ動作の繰り返しでした。30日目だけは、まず保管している場所へ移動し、封を開け、開けている箱の位置に置き直す、という手順が追加されます。1回きりの追加なので軽く見えますが、この日をまたげずに止まる形が、まとめ買いをした人ほど起きやすくなります。交換周期を先に数えておくと、その日に何を足せばよいかも決まります。保管している箱の中から1つだけを先に取り出して、開けている箱のとなりに置いておく。これだけで、30日目の追加動作は「置き直す」の1手に縮みます。
同じ理由で、旅行や出張の初日も途切れやすい日になります。持ち出す動作が前日に挟まり、その動作は毎日の手順の外側にあるためです。途切れやすい日を先に数えておくと、そこにだけ手当てを置けます。
| 場面 | いつ来るか | 手順に挟まる動作 |
|---|---|---|
| 箱を替える日 | 1日2粒なら30日に1回、1日1粒なら60日に1回 | 保管場所へ移動する、封を開ける、置き直す |
| 旅行や出張の初日 | 予定が入るたび | 前日に必要な日数分を取り分ける |
| 生活の時間割が変わる日 | 転勤・季節の変わり目など | 置き場所と通る動線をもう一度決める |
自社調べ。内容量の表示から算出した交換周期と、手順が変わる場面を並べたものです。
続かない原因は、意志の弱さなのか?
原因を意志に置くと、対策が「もっと頑張る」しか残りません。行動の研究が扱ってきたのは意志の量ではなく、行動を起こすきっかけと、それが置かれている場面のほうです。

Wood と Neal が2007年に Psychological Review に発表した総説では、習慣は行動と場面の特徴との結びつきが少しずつ学習されることで生まれる、と整理されています。場面の特徴とは、物理的な場所や、直前にしている行動を指します。いったん結びつきができると、その場面を知覚しただけで、目標をはさまずに行動が起動します。この見方をとると、続かない状態は意志の不足ではなく、結びつく相手の場面がまだ決まっていない状態だと読めます。打つ手も変わります。頑張る量に頼るのではなく、どの場面と結びつけるかを1か所だけ決める、という作業になります。決める場面は1か所で足ります。数を足しても定着しやすくなるわけではありません。
場面を決めるときに手がかりになるのが、すでに毎日やっている行動です。歯をみがく、朝の水を飲む、玄関を出る前に鍵を取る。こうした行動はすでに場面と結びついているので、そのとなりに置くと、新しい結びつきを一から作らずに済みます。
この記事で扱わないこと・分かっていないこと
- 場面と結びつけると続く割合がどれだけ上がるか、という数値は、サプリメントを対象にした公開研究では確かめられていません。研究の多くは運動や食事など別の行動を対象にしています。
- 本記事が扱うのは行動の設計であり、製品を飲むことで身体に起きることは扱っていません。
- 途切れた回数と、その後に戻れるかどうかの関係を、日本語圏の生活習慣で追いかけた資料は見当たりません。
何日で習慣になると言えるのか?
一つの数字では言えません。Lally らが2010年に European Journal of Social Psychology に報告した研究では、自動性が上限の95%に達するまでの日数が18日から254日の幅に散らばりました。
この研究は96人が毎日の行動を12週間続け、自己申告の指標で自動性の変化を追ったものです。想定した曲線に当てはまった62人分のデータで、到達までの日数は18日から254日でした。2週間半で届いた人と、8か月以上かかった人が同じ研究の中にいたことになります。よく引かれる21日という数字は、この幅のかなり下の端にあたります。日数を目標に置くと、下の端を基準にした人ほど早い段階で「自分には向いていない」と判断してしまいます。日数は結果であって、設計する対象ではありません。幅の広さそのものが、この研究のいちばん使える部分です。18日で届く人がいる一方で254日かかる人もいる以上、途中経過を他人と比べても判断材料になりません。
設計できるのは、日数ではなく置き方のほうです。日数の幅が広いという事実は、裏返すと、続いている人と続いていない人の差が期間の長さでは説明できないことを意味します。
- 18日 〜 254日自動性が上限の95%に達するまでの日数の幅(Lally et al., 2010)
- 96人 / 12週間同研究の参加者数と観察期間。うち62人分が想定した曲線に当てはまった
- 日数は結果設計するのは置き場所と手順のほう。日数を目標に置かない
いつ・どこで・何をするかは、どう決めておくか?
決め方には型があります。Gollwitzer が1999年に American Psychologist で扱った実装意図は、「状況Xが起きたら行動Yをする」という形で、いつ・どこで・どうするかを前もって決めておく単純な計画です。
この形が扱いやすいのは、決める対象が1か所で済むからです。「続けよう」という目標の形は、いつ実行するかを毎回その場で判断することになります。「朝いちばんに洗面台に立ったら、棚の容器から1回分を取る」という形にすると、判断は最初の1回で終わり、あとは場面が来たときに実行するだけになります。決めるときは、状況Xの側をできるだけ具体的にします。時刻より、必ず自分がその場にいる場所と、その直前にしている行動のほうが、外れにくい指定になります。1つ決めたら、しばらくは増やさずに置いておきます。
書き出す先はどこでもかまいません。紙でも、冷蔵庫に貼るメモでも、家族に一度口に出して伝えるだけでも成立します。決めた内容が自分の外側に残っていることのほうが、形式より効いてきます。
決めた形は、あとから読み返せるようにしておくと直しやすくなります。状況Xが外れていたのか、行動Yの粒度が粗すぎたのかで、直す場所が変わるためです。書いた1行が残っていれば、どちらを直すかはすぐ分かります。
- 状況Xを決める|毎日かならず通る場所と、その直前にしている行動を1組だけ選ぶ。時刻より場所と直前の行動を優先する。
- 行動Yを決める|その場面で何をするかを、動作の粒度まで書く。「飲む」ではなく「棚の容器から1回分を取る」まで下ろす。
- 外側に書き出す|紙、メモ、家族への一言のいずれかで、自分の外側に残す。形式は問わない。
- 1つで止める|決めるのは1か所だけ。複数の場面を同時に決めると、どれも定着しにくくなる。
置き場所は、何を基準に決めればよいか?
基準は3つです。すでに毎日やっている行動のとなりにあること、開けずに目に入ること、取り出す手数が少ないこと。引き出しの中は、この3つをまとめて外します。

毎日やっている行動のとなりというのは、洗面台、食卓、玄関のように、意識しなくても立ち寄る場所を指します。開けずに目に入るとは、扉や引き出しの内側ではなく、視界に入る位置に置くことです。手数が少ないとは、容器を持ち上げれば取り出せる状態を指します。引き出しの中に入れると、開ける、探す、取り出す、閉じる、という4動作が加わり、同時に視界からも消えます。見えない場所に置いたものは、思い出す動作が先に必要になり、その動作は忙しい日にいちばん先に落ちます。保存の条件は箱の表示に従うので、直射日光と高温多湿を避けられることも合わせて確かめます。
置き場所を1回決めたら、2週間はそのまま動かしません。場所を変えるたびに、場面との結びつきは作り直しになります。合わないと感じた場合も、どの動作が重かったのかを1つだけ書き留めてから動かすほうが、次の置き場所が決まりやすくなります。
置き場所が決まらない住まいもあります。洗面台に棚が無い、食卓が毎回片づけられる、といった条件では、3つの基準を同時に満たす場所が見つかりません。その場合は、条件を1つだけ下げます。下げるのは「開けずに目に入る」ではなく「手数が少ない」のほうにすると、思い出す動作は残らずに済みます。
- 毎日やっている行動のとなりか歯みがき、朝の水、玄関を出る前の動作など、すでに場面と結びついている行動を探す。
- 開けずに目に入るか扉や引き出しの内側は外す。見えない場所は思い出す動作が先に必要になる。
- 1手で取り出せるか持ち上げれば取り出せる状態にする。積み重ねの下や、奥に押し込んだ位置は手数が増える。
- 表示の保存条件を満たすか直射日光と高温多湿を避けられるか。条件は箱の表示に従う。
- 2週間は動かさないか場所を変えるたびに、場面との結びつきは作り直しになる。
途切れたあと、どう戻ればよいか?
戻り方は、途切れた日を数えるかどうかで変わります。数えると、記録が途切れた時点で続ける理由まで一緒に消えます。数えずに、戻る先だけを決めておくと、翌日は1手で再開できます。
戻る先を決めておくことには、もう1つの働きがあります。途切れた事実そのものを、判断の材料から外せることです。連続日数を数えていると、途切れた日が記録の上で目立ち、そこから先を続ける理由を探し直すことになります。戻る先だけを決めておけば、翌日に来るのは同じ場面だけで、探し直す作業は発生しません。
| 途切れたあとの扱い | 翌日に必要な動作 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 連続日数を数える | 記録をつけ直す、数え直す | 記録が切れた時点で、続ける理由そのものが弱くなる |
| まとめて取り返そうとする | 通常と違う飲み方を判断する | 製品の表示が示す飲み方から外れる |
| 戻る先だけ決めておく | 決めた場面で容器に手を伸ばす | 同じ場面が翌日も来るので、1手で再開できる |
自社調べ。途切れたあとの扱いを、翌日に必要な動作の数で並べたものです。
よくある質問
- 21日で習慣になると聞きましたが、本当ですか。
- 一つの数字で言い切れる資料はありません。Lally らの2010年の研究では、自動性が上限の95%に達するまでの日数が18日から254日の幅に散らばりました。21日はこの幅のかなり下の端にあたる数字です。
- 飲む時刻は、朝と夜のどちらに決めるとよいですか。
- 時刻そのものより、その時刻に自分が必ず同じ場所にいるかどうかで決めます。平日と休日で動き方が変わる場合は、両方の日に共通して通る場所と時間帯を選ぶほうが外れにくくなります。
- 何度も途切れてしまいます。向いていないということですか。
- 途切れる回数と向き不向きは、直接には結びつきません。途切れた場面を1つだけ書き留めてみると、箱を替える日、旅行の初日、時間割が変わった週のように、同じ場面が繰り返し出てくることが多くあります。手当てを置く先は、その場面です。
- 決めごとは、いくつまで作ってよいですか。
- 1つで止めます。複数の場面を同時に決めると、どの場面でも判断が挟まることになり、決めた意味が薄れます。1つが動くようになってから、次を足すかどうかを考えます。
- 家族と同じ場所に置いても問題ありませんか。
- 置けますが、取り違えの余地が生まれます。共有の棚に複数の容器が並ぶ場合は、置く場所を分けるか、名前を書いた紙を1枚貼ります。探す動作が1つ減るだけでも、忙しい日の手当てになります。
- 飲むことで身体に何が起きるかは、ここで分かりますか。
- 分かりません。扱っているのは行動の設計だけで、摂取によって身体に起きることは対象外です。摂取の目安は製品の表示に従い、持病や服薬がある場合は医師や薬剤師にご相談ください。
この記事について
出典
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., and Wardle, J. (2010) How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998-1009
- Gollwitzer, P. M. (1999) Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist, 54, 493-503
- Wood, W. and Neal, D. T. (2007) A new look at habits and the habit-goal interface. Psychological Review, 114(4), 843-863
- SOPHIA Lab 商品ページ 内容量表示(NMN 150mg × 60カプセル/NMN含有量 9,000mg)
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